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2024年3月3日(日)

主張

衆院政倫審

予算強行の単なる口実づくり

 政治倫理審査会(政倫審)は裏金事件の説明責任を果たすためではなく、予算案の衆院通過を強行するための単なる口実づくりだった―。衆院で2月29日と3月1日に開かれた政倫審と1、2日の予算案採決をめぐる動きは、事件の真相解明に背を向ける岸田文雄首相の姿勢を浮き彫りにしました。

証人喚問こそ必要

 政治資金パーティーの収入をめぐる自民党の派閥ぐるみの裏金づくりは、政治資金規正法に違反した組織的犯罪で、金権腐敗根絶のための徹底究明が今国会の大きな責務です。真相解明には、一体、誰が何の目的でいつ裏金づくりを始めたのか、いったん廃止を決めたのになぜ継続されたのか、具体的に何に使ったのかなどを明らかにすることが重要です。

 2日間にわたる政倫審には、岸田首相と安倍派、二階派の事務総長経験者ら5人が出席しましたが、肝心の点は何も明らかにされませんでした。首相は極めて不十分な自民党の聞き取り調査報告書(2月15日公表)の内容をなぞるだけで、裏金づくりが違法であるとの認識さえ示しませんでした。

 安倍派の西村康稔氏(前経済産業相)は、派閥の政治資金パーティー収入の議員への還流は「歴代会長と事務局長との間で慣行的に扱われてきた」とし、帳簿や収支報告書なども「見たことがない」と述べ、「事務総長は会計に一切関与していない」などと弁明しました。派閥の実務の最終責任者である事務総長が経理に関与していないとは到底信じられません。

 知っているのは元会長と事務局長だというなら両者にただすのが当然ですが、「(元会長で)亡くなられた方も多い」「(事務局長は)裁判を控えている」などと拒否しました。歴代会長では安倍晋三元首相、細田博之前衆院議長らが故人となっていますが、森喜朗元首相にただすことは可能です。しかし、森氏についても「関与していたという話は聞いたことがない」と拒みました。西村氏は第三者が確認した方がいいと述べましたが、そうであるなら森氏を国会に呼んでただすしかありません。

 安倍派では、安倍氏が会長だった2022年4月に還流をやめる方針を一度決めたものの、安倍氏の死去後、還流は復活しました。しかし、誰がどのような場で継続を決めたのか不明のままです。当時の派閥幹部の協議に参加していたとされる下村博文元文部科学相や世耕弘成前党参院幹事長らをただす必要があります。政倫審で真相が解明されなかった以上、森、下村、世耕の各氏、安倍派幹部らの証人喚問が不可欠です。

抜本的組み替えを

 当初、自民党が完全非公開を主張してめどが立たなかった政倫審は、岸田首相が全面公開での出席を表明したのを受けて開かれました。狙いは裏金事件の解明で範を示すというものではなく、予算の年度内成立が可能な2日までに何としても衆院を通過させることでした。それは初日の政倫審が終わった途端、予算案の採決日程の決定を強行したことから明白です。

 予算案は国民の暮らしを破壊し空前の大軍拡を進めるもので、参院での徹底審議を通じ抜本的に組み替える必要があります。同時に、衆院で裏金事件の徹底究明を続けることが求められます。これで幕引きにすることは許されません。


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