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2021年11月26日(金)

スト相次ぐ米国

コロナ下 各地で賃上げ

労組への支持 高水準に

 米国では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が続く中、各地の大手企業で労働者がストライキを実施し、相次いで賃上げや労働条件の改善などを勝ち取っています。団結した労働者の動きが、国民の間に支持を広げています。(ワシントン=遠藤誠二)

今年に入り300件を超す

 コーネル大学の調査によると、米国では今年、今月21日までに307件のストが実施されています。10月以降はその3分の1にあたる99件、今月だけで41件と増えています。10月には3万人近い労働者がストに参加しました。

 この背景にあるのは「ストライクトーバー」(ストライキとオクトーバー〈10月〉を合わせた言葉)と呼ばれる運動。米ナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が推進してきました。シューラー同議長は米紙ワシントン・ポスト10月26日付に「ストライクトーバーは混とんの兆しではなく、この国にとって健全な発展だ」と寄稿しました。

 この間、食品製造業の労組「製パン製菓タバコ製造製粉労働組合(BCTGM)」に加盟するシリアル食品大手ケロッグの労働者によるストが10月5日に始まり、1カ月半以上におよんでいます。

 全米自動車労働組合(UAW)加盟の農業・建設機械大手ディアの従業員は35年ぶりにストを決行。1カ月におよぶストを経て今月17日、暫定合意を受け入れました。

 西海岸3州の大手医療保険組織「カイザーパーマネンテ」の施設で働く看護師・薬剤師、医療従事者約3万人が賃上げ等を求めてストを構えたところ、13日に会社側と合意に至りました。

不公正など是正求めて

 労働組合にたいする米国民の意識にも変化がみられます。ギャラップ社の世論調査(8月2~17日)では、労組に対して支持が68%、不支持が28%でした。労組の組織率が11%という中、労組への支持率は1960年代末や90年代末と同じ水準になっています。

 進歩的シンクタンク「政策問題研究所(IPS)」のレベカ・エントラルゴ氏は、コロナ禍でも大企業が過去最高の利益をあげ、幹部や株主がもうける中、労働者の状況は変わらないままだと指摘。「より良い賃金や医療手当、不公正の是正など、強力な労働組合が直接的にこれらの課題で勝利することができている」と分析しています。


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