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2021年6月24日(木)

主張

赤木ファイル開示

改ざん強要の徹底解明拒むな

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐって、財務省の公文書改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんが経過を記録した「赤木ファイル」が開示されました。妻雅子さんが「真実が知りたい」と起こした訴訟で、大阪地裁が国に開示を指示したものです。ファイルには、佐川宣寿理財局長(当時)から文書書き換えで「直接指示」があったとするメールがありました。本省の不当な要求に赤木さんが抗議したことも記されています。一方、一部黒塗りのため全容解明はこれからです。財務省は隠ぺい姿勢を改め、真相を明らかにすべきです。

不当な要求に強く抗議

 500ページ超のファイルには、時系列で改ざんの過程をまとめたものや、本省と財務局で交わされたメールなどが含まれています。

 「備忘記録」とされる文書では、本省の問題意識は「相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え」と記述されたほか、「佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新しい情報を与えることがないよう)があった」と書かれていました。同時に「決裁済の調書を修正することは問題があり行うべきではない」「強く抗議した」「納得できず」とつづられ、理不尽な作業を執ように強要されたことへの怒りと苦渋の思いが表明されています。

 注目されるのは、ファイルに残された2017年2月~4月の本省と近畿財務局の間での多くのメールです。2月26日の本省のメールは「削除した方が良いと思われる箇所があります。マーキングしておきました」などとし、安倍晋三前首相と妻の昭恵氏、政治家複数の名前が記載された部分を指定し削るように求めたことをうかがわせるやりとりがあります。昭恵氏らの箇所は削除されました。

 その9日前の17日、安倍首相は「私や妻が関係していたら首相も国会議員もやめる」と国会で答弁しています。佐川局長の虚偽答弁もそれからです。3月20日の本省からのメールは、国会答弁を踏まえ文書を修正するよう佐川局長から「直接指示がありました」と明記されています。安倍氏の答弁を契機に国会をあざむく官僚の答弁が繰り返され、その答弁にあわせて国民の共有財産である公文書が改ざんされていった異常な実態を浮き彫りにしています。

 財務省が18年にまとめた調査報告書は、佐川局長が「改ざんの方向性を決定付けた」としたものの、具体的な指示について言及していません。ファイルの開示を受け、財務省は再調査を行う時です。拒む理由はありません。国会での閉会中審査は欠かせません。

指揮系統を明らかにせよ

 開示されたファイルでは、幹部職員以外の名前などは黒塗りにされました。これでは組織的にどのように改ざんが進められたのか、指揮系統などが明らかになりません。雅子さんは、伏せられた名前を示し、責任の所在を明らかにすることを求めています。

 民主主義の根幹を揺るがす公文書改ざんを究明するのは菅義偉政権の責任です。森友学園疑惑自体の解明も尽くされていません。安倍前政権下で噴出した国政私物化・「政治とカネ」疑惑は、菅政権でも問われています。絶対にあいまいにできません。


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