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2021年6月15日(火)

主張

教員わいせつ防止

子どもを性暴力から守る力に

 教員による児童生徒への性暴力防止を目的に、わいせつ行為をした教員を現場に戻さないための新法が5月28日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。日本共産党も共同提案に加わりました。いわゆる「わいせつ教員」から子どもを守る貴重な一歩です。

教育現場には戻さない

 わいせつ行為やセクハラで懲戒免職などの処分になった教員は増加傾向です。2019年度は公立小中高校と特別支援学校で273人もおり、うち自校の子ども(卒業生含む)へのわいせつなどが約8割にのぼります。

 そもそも、子どもに性暴力をふるう者を、子どもに関わる職業に就かせるべきではありません。

 何よりも、子どもを性暴力から守らなければなりません。性暴力は被害者の人格と尊厳を著しく傷つけ、深刻なダメージを与えます。とりわけ子どもが信頼を寄せる教員が教師―教え子の関係を利用して子どもに性暴力をふるうことは成長途中の子どもの一生を左右する、絶対に許されない犯罪です。

 教員側にも、更生する権利や職業選択の自由はありますが、それよりも子どもの発達や生存の権利、尊厳を守ることを優先しなければなりません。「わいせつ教員」の更生や生活は、子どもにかかわる仕事とは別の職業によって保障されるべきものです。

 性犯罪は再犯率が高いことで知られ、なかでも小児型わいせつが最も高いと言われます(犯罪白書)。再犯防止と治療のためには、犯罪を誘発しやすい環境に置かないことが重要です。近年の研究では、性犯罪は支配欲によるものと指摘されています。こうした性犯罪の特性からも、支配しやすい対象(子ども)が周りにいる教育現場に「わいせつ教員」がいられる状態なのは大きな問題です。

 法改正前は、懲戒免職で免許が失効しても最短で3年後には再取得が可能でした。そのため一部の教員が子どもに性暴力をふるい、それで処分されても別の自治体で再び教職に就き、犯罪を繰り返すことが問題となってきました。

 新法は、教員による児童生徒へのわいせつ行為を「児童生徒性暴力等」と定義し、刑事罰の対象とならない行為を含め、同意の有無にかかわらずこれを禁止しました。これにより懲戒免職となった教員を学校現場に戻さないことを主眼としています。そのために免許授与権を持つ都道府県教育委員会に再授与を拒否できる裁量権を付与し、審査の際に参照できるよう、当該教員に関するデータベースを国が整備することも規定しました。英国の無犯罪証明制度(DBS)を参考にした、保育士やベビーシッターなど子どもに関わる職業従事者の犯罪歴を照会する制度の検討も付則に盛り込まれました。

公教育で性教育の重視を

 国会の質疑では、事実関係調査の際の二次被害を防ぐために司法面接の手法も参考にすることや、発達段階に応じた性教育の必要性について、政府から前向きな答弁がありました。

 人権教育の一環としての性教育が自公政権により抑圧されてきたことは、長く教育現場を苦しめてきました。今こそこの抑圧をなくすべきです。子どもの権利条約が生き、個人の尊厳が大切にされる民主的な学校へ、全国に取り組みを広げていきましょう。


 おわび 11日付主張「NTT接待報告書」の中で、無関係の寺田学衆院議員(立憲民主党が秋田1区に公認)の氏名を誤って記載しました。寺田議員をはじめ関係者にご迷惑をおかけしましたことを、おわび申し上げます。


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