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2020年12月18日(金)

主張

少人数学級

中学高校含め本格的な実施を

 萩生田光一文部科学相と麻生太郎財務相が、小学校の学級編成標準(現在40人、小1のみ35人)を5年間かけて35人に引き下げることで合意しました。法改正も行い、2021年度予算案に反映させる予定です。

国民が重要な前進つくる

 小学校全学年の学級規模の一律引き下げは40年ぶりです。長い間、多くの国民が少人数学級を求めてきました。そしてコロナ禍のもとで、子どもたちに手厚い教育を、感染症に強い学校をと、今までにない多くの人々が声をあげました。全国知事会をはじめとする地方自治体、数百の地方議会、校長会や教育委員会の全国団体も少人数学級を求めました。教育研究者有志の署名運動は短期に20万人分近く集まりました。全国各地で教職員、保護者、市民が多彩な取り組みを重ねました。今回の合意は、こうした国民みんなでつくりだした重要な前進です。

 同時に「小学校だけ、35人を5年かけて」というだけでは、不十分です。

 なぜ、体も大きく、思春期で手厚い教育が必要な中学生や高校生の条件を何も変えないのか。なぜ、最低限の身体的距離をとるのも難しい35人なのか。文科省も30人学級を求めていました。欧米をみれば、20人程度の学級が当たり前になっています。当面、小中高全体で30人学級を可能な限り早く実施する計画のもとに、予算編成を行うべきです。

 少人数学級は、子ども一人ひとりを丁寧に育てるために必要な条件です。

 多人数の学級では、少なくない子どもが理解しなくても授業は先に進みがちです。コロナ禍の分散登校で一時的に20人以下の学級で教わり、方程式が理解できたある生徒は「自分はばかではなかった」と思わず声に出したといいます。そして暗記型でない、みんなで深く考えあう豊かな授業は、少人数でこそ可能です。

 子どものケアという点でも少人数学級が急がれます。教員は子ども一人ひとりの個性を理解し、子どもの変化を感じ取りながら向き合えます。一律指導で大声を出す必要もなくなります。子ども同士の関係も、安心で落ち着いたものになります。分散登校の時、不登校の子どもが教室に顔をみせたと各地で語られました。

 こうした良さが実感できたからこそ、「今度こそ少人数学級」の声が全国に広がったのです。

 今回の不十分さの根底には、教育にお金をかけない自公政権の姿勢があります。国内総生産(GDP)比で見ると、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国で最低クラスの教育予算水準は変わりません。少人数学級の効果は自明で、それを示す国内外の研究もあるのに、財務省は「効果が検証されていない」と言い張り、少人数学級に背を向け続けています。政権の姿勢を改める必要があります。

さらに力を合わせよう

 日本共産党は「子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」と呼びかけてきました。来たるべき総選挙に向け、子どもたち一人ひとりの多様性を大切にし、一人ひとりを尊重するために「少人数学級は重要な一歩」と速やかな実現を掲げています。今回の重要な前進を足がかりに、本格的な少人数学級実現へ力を合わせましょう。


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