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2020年8月7日(金)

きょうの潮流

 「75年は草木も生えぬ」。原爆によって破壊尽くされた広島の街はいま、緑豊かな中核都市として発展しています▼軍都から平和都市へ。その歩みには、先人たちの強い思いが込められています。廃虚のあとを生きた人びとがつむいできた声。近刊『広島復興の戦後史』にも、歴史を動かしてきた生活者の叫びが描かれています。「復興の中の矛盾をよみとくヒントがある」▼それはいまも。世界最大級の被爆建物、旧陸軍被服支廠(ししょう)をはじめとする遺構。追悼碑や供木が立ち並ぶ平和大通り。その保存やあり方を見直す計画が進められようとしています。被爆者や平和を願う人たちがこうした街づくりに危機感を募らせる背景には核廃絶に向けた日本政府の怠慢があります▼ことしの平和宣言。核兵器禁止条約の締結を改めて政府に求めた広島市長にたいし、安倍首相はまたも触れず。被爆75年の節目にもかかわらず、唯一の戦争被爆国として何も具体的な道筋を示しませんでした▼いまや平均年齢が83歳をこえる被爆者。切実な願いである核なき世界に向け、いっこうに国はふみださない。しかも、いまだに黒い雨裁判のように差別され苦しめられている現実。そのことへの怒りや悲しみが傷ついた心と体を突き動かしています▼自国だけの平和はありえない。平和宣言は国際的な連帯を訴えました。米国の若い世代に聞いたNHKの調査では、およそ7割が核兵器は必要ないと。世界のかけ橋となる被爆地の声に一刻も早く。人類の未来のために。


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