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2020年8月3日(月)

きょうの潮流

 介護とはなんぞや。大まかなとらえ方が日本で明確になったのは半世紀ほど前。たとえば、老年看護や認知症ケアの先駆者といわれる中島紀恵子さんはこんな定義づけをしています▼健康や障害の程度を問わず、衣食住の便宜さに関心をむけ、その人が普通に獲得してきた生活の技法に注目し、身のまわりを整えるうえで支障があれば「介護する」という独自の方法でそれを補い支援する活動である(『介護福祉』)▼その人自身が人間として人生でなそうとしていることを病気や障害、老いのために無に帰すことのないよう、補い助ける。日々それを実践する人たちの工夫や苦労を思うと頭が下がります▼現場の萎縮を払拭(ふっしょく)してくれた―。長野県の特養「あずみの里」をめぐる裁判で出された高裁の逆転無罪。おやつにドーナツを出して入所者を窒息死に至らせたとして起訴された准看護師が一審で有罪になったことは全国の介護現場に衝撃と混乱をひろげました▼慢性的な人手不足で余裕のない体制。それを傍観し、不要不急なことに財源を注ぐ国。そのうえ、実態を見ずに罪に問われたら…。“とてもやってられない”と声をあげるのも当然でしょう▼介護保険制度が始まってから20年。その歩みは値上げとサービス制限、人材確保策の失敗だったと、高齢社会をよくする女性の会代表の樋口恵子さんは指摘しています。平均寿命が毎年延びる今日、保険あって介護なしといわれる現状の打開は待ったなし。長生きを喜べる社会をつくるためにも。


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