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2020年6月25日(木)

きょうの潮流

 政府の原子力防災会議が今週、宮城県にある東北電力女川(おながわ)原発の重大事故を想定した避難計画を了承しました。その場で安倍首相は「被ばく防護措置と感染防止対策の両立も図っています」と発言しています▼感染症対策との「両立」? 避難計画をめぐっては、課題が山積し実効性が問題になっているのに、可能なのか。原発の避難は事故時の放射線から迅速に被ばくを避けるためで、政府が了承した計画は原発から半径30キロ圏内に暮らす19万9千人が対象です▼感染症が流行しているなかでは、「感染者」と「それ以外の者」は別々の車両で避難するとあります。また、バスなどで避難する際は密集を避け、極力分散するとか、自宅などで屋内退避する場合は換気しない…▼密集を避けるというものの、1台当たりの乗車人数を想定したバスの必要台数はどうなるのか、避難の受け入れ施設は足りるのか。方針だけで具体化は自治体任せです▼宮城県の試算によると、30キロ圏内の住民が一斉に避難した場合、車両の渋滞に巻き込まれるため、5キロ圏内の1100人の住民のほとんどが避難先に到着するまで5日以上かかるといいます。試算には水や食料の補給などが含まれておらず、さらに長期化すると指摘されています。これに感染症対策が必要となれば、さらに時間がかかるのでは▼長時間の避難自体、いのちや健康にかかわることは福島原発事故でさまざま報告されています。住民にとって一番の安全は、机上の空論より再稼働の“自粛”です。


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