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2020年4月29日(水)

主張

初のネット世界大会

人類の未来を開く希望の連帯

 史上初のオンラインによる原水爆禁止世界大会(世界大会「核兵器廃絶、気候危機の阻止と反転、社会的経済的正義のために」)が25日開かれました。今月末に国連で予定されていた核不拡散条約(NPT)再検討会議に合わせ、ニューヨークでの世界大会を準備してきた世界の反核団体が主催しました。新型コロナウイルスの感染拡大でNPT再検討会議が延期された中でも、協力し合い実現したものです。インターネットでの参加者は1千人を超えました。

市民がつながることで

 大会を呼びかけたのは、ノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議や国際平和ビューローのほか、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原水爆禁止日本協議会(原水協)、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などです。

 世界が新型コロナの脅威に直面するもとで、強く求められているのは、分断や対立ではなく、市民社会を含めた国際的な共同です。オンライン大会は、活動が困難な時期でも世界の市民がつながれば、大きなメッセージを発信できることを示しました。核兵器のない、平和で公正な、新しい世界を切り開く希望の連帯です。

 大会冒頭に被爆体験を語った和田征子・日本被団協事務局次長は、「人間の尊厳とは何か。人はゴミのように焼かれるために生まれてきたのではない」と訴えました。人々の命と尊厳がコロナで危機にある時、人間の安全より「国家」や「自国」を優先し、核兵器にしがみつき軍拡に巨費を投じる核大国の身勝手な姿勢は許されません。

 大会が発表した声明は、「核兵器の廃絶を求めたNPT第6条の即時履行」「核兵器禁止条約の早期発効」をめざす行動を提起しました。「中東非核地帯の早期創設」「地域紛争の停止」「軍事予算の世界的な大幅削減」も目標に掲げました。めざすべき課題は明確です。

 大会では気候危機阻止に立ち上がった17歳の若者、貧困問題で活動する牧師など多様な人々が、力を合わせようと発言しました。声明は「貧困にあえぐ者、移民、難民、強権的非民主的政権の犠牲者たちを含む世界の弱者や抑圧された人々との連帯」「民主主義、真理と科学の尊重、人種・ジェンダー・経済での公正」を打ち出し、広範な運動との連携を呼びかけました。共同をさらに広げる時です。

 中満泉・国連軍縮担当上級代表は、「ヒバクシャ国際署名」が1千万人分を超えたという報告をうけ、「署名をした一人ひとりに感謝し、核兵器のない世界を達成するために全力をつくすことを誓います」と述べました。署名に託された願いは、確実に国際政治に届いています。市民社会が圧倒的多数の非核国とともに世界を動かす時代となっています。

被爆国の責務を果たせ

 被爆者を先頭にした世界の訴えを、安倍晋三政権は真摯(しんし)に受け止めなければなりません。唯一の戦争被爆国の責任が問われます。核兵器禁止条約に背を向ける態度を改め、署名・批准すべきです。

 広島・長崎の被爆75年となる今夏の原水爆禁止世界大会もオンラインを含めた形の開催が検討されています。オンライン世界大会の成果と経験を生かし、創意あふれる取り組みで、人々がつながり、核兵器廃絶の展望と決意を力強く示していくことが期待されます。


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