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2019年8月17日(土)

介護労働者 65歳以上が1割超

18年度調査 人材「不足感」6割超

図

 介護労働安定センターは15日までに、2018年度「介護労働実態調査」の結果を公表しました。介護労働者の1割超が65歳以上で、60歳以上では2割超となることが明らかになりました。安倍晋三首相は介護職員の処遇を改善してきたと誇っていますが、介護現場の人材「不足感」は6割を超え、5年連続の上昇となりました。

 調査には、全国の介護保険サービス事業を実施する9102事業所と介護労働者22183人が回答。

 同調査によると、労働者の年齢割合は40歳以上45歳未満が12・8%、45歳以上50歳未満が12・3%で、次いで65歳以上が12・2%でした。60歳以上は全体の21・6%で、年々増加傾向にあります。(グラフ)

 介護サービスで働く従業員の「不足感」は67・2%で、13年以降、5年連続して不足感が増加しています。不足している理由としては「採用が困難」が約9割を占めました。

 労働者の平均賃金は、正規・月給の訪問介護員で月21万1732円(前年比7097円増)、介護職員で月21万7465円(同2614円増)と増えたものの、依然として全産業平均(月30万6200円)と比べて約9万円の差があります。

 安倍政権が「改善した」という根拠となっている「処遇改善加算」について、加算を取得している事業所が行った処遇改善の内容は、「一時金の支給」「諸手当の導入・引き上げ」が6割だったのに対し、「基本給の引き上げ」は4割の事業所にとどまりました。

 一方で、労働者に尋ねた「賃金や手当等の希望」では「基本給の引き上げ」が6割超と、事業所とのかい離が生じています。

 事業所に尋ねた「事業を運営する上での問題点」では、「良質な人材確保が難しい」(56・3%)に、「今の介護報酬では、人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」(48%)、「経営が苦しく、労働条件や労働環境改善をしたくてもできない」(32%)が続き、処遇改善加算を引き上げる一方で介護報酬本体を引き下げてきたことが介護事業所の経営を圧迫していることが分かります。

 介護報酬の削減路線をやめ、増額や底上げに踏み出すことが必要です。国費の直接投入による賃金引き上げなど、抜本的な労働環境の改善が求められます。


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