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2019年7月24日(水)

「性急な改憲ノー」こそ民意

審判を逆さに描く安倍首相

志位委員長が会見で批判

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(写真)志位和夫委員長(左)、安倍晋三首相

 21日投票の参院選では、安倍晋三首相が「改憲を議論する党か、しない党か」と、初めて改憲を前面に訴えたにもかかわらず、自民、公明、維新の改憲勢力は3分の2の議席を割り込みました。日本共産党の志位和夫委員長が22日の記者会見で指摘したように、「自民、公明、維新などの改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を割ったことこそが民意」です。

 ところが安倍首相は22日、選挙結果を受けての会見で、「国民からの力強い信任を得た」として、「少なくとも『議論は行うべきである』。これが国民の審判」と発言。「令和の時代にふさわしい、憲法改正案の策定に向かって…強いリーダーシップを発揮していく決意だ」とのべ、2021年までの「任期中の改憲」に強い執念を見せました。

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 これに対し志位氏は「そのような性急な改憲を進めることは賛成でないという民意が、今度の参院選で示された。首相はこの民意を受け止めるべきだ」と批判。選挙での審判を受け止め、改憲策動を中止するよう強く求めました。

 だいたい安倍首相は「国民からの力強い信任を得た」といいますが、自民党は9議席減で単独過半数を失いました。比例票は2000万票を大きく割り込む1771万票で、絶対得票率は第2次安倍政権発足以降最低の16・6%(比例代表)に落ち込みました。これで「信任を得た」とはとても言えません。

 とりわけ、3分の2維持の分かれ目となった1人区の激戦区に、首相自らが繰り返し応援に入ったものの、安倍改憲反対・発議阻止を掲げた野党統一候補に軒並み逆転され敗北しました。

 志位氏が指摘するように「性急な改憲を進めることには賛成でない」という民意が、今度の参院選の結果なのです。


首相発言の三つのうそ

一橋大学名誉教授 渡辺治さん

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 “改憲を「少なくとも議論すべきだ」という国民の審判は下った”という安倍首相の発言は三つの点でうそです。

 第一に、安倍首相が執着した改憲勢力3分の2は維持できませんでした。第二に、首相が頻繁に応援に入り改憲論議の必要を精力的に訴えた1人区の激戦区で、軒並み自民党は野党統一候補に敗北しました。そして第三に、最も大きいのは、安倍首相の熱心な訴えにもかかわらず、安倍政権下の改憲についても9条改憲についても、選挙中の世論調査、出口調査で反対多数は最後まで変わらなかったことです。これらのことからみて、国民は改憲論議を急ぐべきではないという意思を示したと言えます。

 2017年5月3日の安倍改憲提言以来、2年以上にわたり改憲発議を許さなかった、3000万人署名を軸とする市民の運動、野党の共同した頑張りが、この選挙戦においても、こうした結果を生みだしたことに、私たちは確信を持つべきだと思います。

 今度の選挙で、市民と野党の共闘勢力は安倍改憲の息の根を止めるには至っていません。改憲勢力は3分の2を失いましたが、自民党の57に公明、維新の会を加えて、81議席を獲得しています。安倍首相は改憲を全くあきらめていないどころか、この秋に向け野党分断によって3分の2を「回復」する狙いも公言して、改憲強行に死にものぐるいで臨む決意を表明しています。

 3分の2を失ったことで教育無償化の問題などを織り交ぜて野党を巻き込む動きに出る可能性もありますが、安倍改憲の本命、9条改憲へ支配層の衝動と焦りが増しています。

 トランプのアメリカは、イランとの核合意から一方的に離脱し挑発を繰り返した結果、戦争の危険が高まっています。トランプ政権は、日本に対して有志連合への参加の圧力を加えていますが、アメリカの戦争への武力による加担こそ、戦争法、そして安倍9条改憲のねらいにほかなりません。どんな名目でもアメリカの戦争への自衛隊の加担を許さない、違憲の戦争法を合憲化する9条改憲を絶対に阻まねばなりません。

 安倍改憲を止めるか否かの正念場は、いよいよ山場を迎えました。市民の運動、野党の共同したたたかいの力が試されるときがきたのです。


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