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2019年7月3日(水)

主張

トランプ安保発言

安倍9条改憲の狙いが見えた

 トランプ米大統領が日米安保条約を「不公平」であり、「変えるべきだ」と述べたことが議論を呼んでいます。日本政府は「見直しという話は一切ない」(菅義偉官房長官)と否定しますが、「米国が攻撃されても日本はたたかわない」ことを問題視するトランプ氏の発言は、安倍晋三首相の主張と相通じるものです。首相が固執する憲法9条改定をはじめ「海外で戦争する国」づくりの危険な狙いを示しています。

日米安保を“血の同盟”に

 トランプ氏は、大阪市での20カ国・地域(G20)首脳会議を前後して、日米安保条約の「不平等性」に関する発言を繰り返しました。

 先月26日放映の米テレビの電話インタビューで、トランプ氏は「日本が攻撃されれば、われわれは第三次世界大戦をたたかう。われわれは彼らを守り、命や財産を賭してたたかう。しかし、われわれが攻撃されても日本はわれわれを助ける必要が全くない。彼らはソニー製のテレビで攻撃を見ているだけだ」と語りました。

 さらに29日の大阪市内での記者会見では、日米安保条約の廃棄については「一切考えていない」としつつ、「(条約は)不公平な合意」であり、「日本が攻撃されればわれわれはたたかわなければならない。米国が攻撃されても彼らはそうする必要がない」として、安倍首相に「それは変えなければならない」と伝えたことを明かしました。

 一連のトランプ氏の主張は、安倍首相のかねてからの持論と重なります。首相は自民党幹事長時代に出版された対談本(『この国を守る決意』2004年)で、「日米安保条約を堂々たる双務性にしていく」という「新たな責任」があるとし、「軍事同盟というのは“血の同盟”です。日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです」「双務性を高めるということは、具体的には集団的自衛権の行使だと思います」と強調しています。

 トランプ氏や安倍首相が語っているのは、米国本土が攻撃された場合ではありません。地球規模で展開し、世界の紛争などに軍事介入する米軍が攻撃を受けた時に、日本の自衛隊がともに血を流してたたかう―。ここに、本当の狙いがあります。

 安倍政権は15年に安保法制=戦争法の成立を強行し、日本の「存立危機事態」を口実に集団的自衛権の行使を可能にしました。安倍首相が企てる9条改憲は、安保法制さえ踏み超えて、自衛隊が海外で米軍と肩を並べて無制限の武力行使をできるようにしようとするものです。

米軍の異常特権をただせ

 日米安保条約の「不公平」さは、日本にとってこそ大問題です。

 日本ほど巨額の米軍駐留経費を肩代わりしている国はありません。日本ほど地位協定で米軍に治外法権的な特権を保障している国もありません。米軍の海外“殴り込み”部隊である海兵遠征軍や空母打撃群に基地を提供している国も世界で日本だけです。

 今必要なのは、憲法9条を生かした平和外交の実現であり、異常な米軍特権をただし、対等・平等・友好の日米関係を築くことです。参院選で問われる重要なテーマです。


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