しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年5月15日(水)

「戦争による領土奪還」発言

維新、丸山議員を除名

 日本維新の会は14日の持ち回りの役員会で、日ロ領土問題について「戦争による領土奪還」に言及した丸山穂高衆院議員(大阪19区)を除名しました。丸山氏はツイッターで「これより先の期間は無所属にて活動する」と記し、議員辞職は否定しました。

 松井一郎代表(大阪市長)は14日の会見で「議員辞職すべきだ」と語りつつ、党としての辞職勧告について問われると「自ら判断すべきだ」と述べました。

 松井氏は13日の記者会見で丸山氏の発言について、「言論の自由なので、どう発言するのかは個人のいろんな表現の仕方の中での発言もあるかもしれない」と述べていましたが、世論の批判が高まる中、対応をとらざるを得なくなったものです。

 丸山氏は、10日から国後島の「ビザなし交流事業」に参加し、現地で訪問団の元島民に対し「戦争でこの島を取り返すことには賛成ですか。反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと発言。元島民から「戦争なんて言葉は使いたくない」と反論されたにもかかわらず、同様の発言を繰り返していました。酒に酔っていたといいます。

 丸山氏は13日深夜、都内で記者会見を開き、発言を撤回し、謝罪しました。

憲法違反 即刻辞職を

 「北方領土」(南千島と歯舞・色丹)の返還をめぐって「戦争しないとどうしようもなくないか」などと戦争をけしかけた丸山氏の発言は、領土紛争をはじめ紛争の平和的解決を確認した国際秩序を否定し、戦争放棄を定めた憲法9条に真っ向から反するもので言語道断です。憲法順守義務にも反し、国会議員として失格です。即刻、議員辞職すべきです。

 日本の歴史的領土である千島列島がロシア領(旧ソ連領)にされたのは、「領土不拡大」という大原則を踏み外した不公正な戦後処理によるものです。その不公正を正す道理ある外交姿勢を欠いた安倍自民党の対露外交の行き詰まりの中で、「戦争」による「解決」という驚くべき主張が、安倍政権を補完する役割を果たしてきた国会議員の中から飛び出したことは、極めて重大です。

 日本維新の会は、安倍首相の改憲策動のお先棒をかつぎ「改憲に必要な3分の2の勢力の中に入る」などとして、安倍改憲の「突撃隊」の役割を果たす勢力です。維新の会の創設者である橋下徹元大阪市長はかつて、憲法9条について「何もしなくても平和は維持される。平和を維持するためには、自ら汗はかかないというのが根源の精神だ」と9条をけなし、9条改憲に積極姿勢を示しました。今回の丸山氏の発言の根底には、同会の9条否定の姿勢があります。

 維新の会は、「除名」にとどまらず、丸山氏に対し議員辞職を勧告するべきです。

 (行沢寛史)


pageup