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2018年12月2日(日)

主張

沖縄に海兵隊集中

世界に例のない異常は明らか

 米国・米領以外にある米軍の海外基地(施設)が過去10年間で247(約32%)も削減されているのに対し、在日米軍基地の削減数はわずか3(約2%)にすぎないことが、米国防総省の最新の報告書で明らかになっています。報告書では、米海兵隊の海外基地のほぼ全てが沖縄を中心にした日本に集中していることも改めて示されています。沖縄県名護市辺野古への米海兵隊新基地建設をはじめ在日米軍基地の強化が、米軍の海外基地縮小の流れにも逆行し、世界的にも極めて異常な動きであることを浮き彫りにしています。

ドイツでは大幅に減少

 米国防総省の2018米会計年度(17年10月~18年9月)の「基地構造報告」によると、米軍の海外基地の総数は514で、第2次世界大戦後、最小の規模となっています。10年前の08米会計年度(07年10月~08年9月)の「基地構造報告」の761から247もの大幅な削減です。

 米軍の海外基地数が最も多いドイツでも、08米会計年度「報告」の268から18米会計年度「報告」の194へと74も減少しています。一方、在日米軍基地は124から121へと3しか減っておらず、ほとんど変化はありません。

 しかも、駐留米兵数はドイツの3万5360人に対し日本は5万3640人と最多です(別の米国防総省資料、18年6月末現在)。

 米海兵隊の海外基地の総数は18米会計年度「報告」で23、うち日本が22、韓国が1です。日本の内訳は沖縄13、キャンプ富士(静岡県)1、岩国(山口県)1、基地名未記載が7となっています。日本駐留の海兵隊員は1万8701人に上ります(韓国は196人、前出資料)。日本とりわけ沖縄への米海兵隊基地の集中が世界に例のない事態であることは明白です。

 在日米軍基地は米国の世界戦略の前進拠点であり、そこに配備されているのは「海兵遠征軍」、「空母打撃群」など、文字通り、世界の紛争に殴り込む部隊です。「日本防衛」のために駐留しているのではありません。

 初代防衛大臣の久間章生氏も「米国の世界戦略の拠点になっているのが在日米軍基地」であり、「在日米軍基地は日本の防衛のためというより、…中東から中国を含む東アジアにかけて展開する米軍のための最大拠点」と述べています(『安保戦略改造論』12年)。

 日本政府はこうした米軍基地に巨額の「思いやり」予算や「米軍再編」予算などを注ぎ込み、施設の新設や改修を行っています。ドイツでは、米軍基地の施設整備費は米側負担です。

 このため、18米会計年度の「基地構造報告」によると、在日米軍基地の資産価値総額は981億8800万ドル(約11兆円)に達し、ドイツの総額448億5370万ドルの2倍以上となっています。「在日米軍基地は米軍にとって都合のいい、使い勝手のいい基地」(久間氏、前掲書)に他なりません。

辺野古新基地の阻止を

 沖縄県は、政府が強行している辺野古の米海兵隊新基地建設について、運用開始まで最短で13年を要し、最大2兆5500億円もの費用がかかるという試算を明らかにし、中止を訴えています。建設費は全て日本側の負担です。辺野古新基地の建設阻止はこの点でも全国民的な課題です。


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