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2018年11月4日(日)

きょうの潮流

 「ぼくには夢があります/知って下さい/いつか赤い雲の先で/新しいランドセルを/背負ったばかりの/いまはまだ小さい/ぼくのことを/ほんのひとあしを/まっすぐな道を/夕焼けを」▼福島市に住む詩人、和合亮一さんの作品「ランドセル」の一部です。大震災の年に生まれた子どもたちが今春、小学校に入学。そこに込めた思いを色紙につづり、展示したものです▼流れた歳月の重みとともに、希望が感じられます。実際、原発事故で泣く泣く追われた故郷に戻り、ようやく一歩をふみだした家族も。一方で帰還は進まず、東電からの賠償金や住宅の無償提供の打ち切りで、いまだ苦悩している人たちもたくさん▼生活や子どもの健康、そして戻ったときの人間関係の不安…。被災者の調査からは、くらしの安心は取り戻せていない、まだ事故は終わっていない、との心の叫びがひしひしと伝わってきます▼そんななか、福島第1原発の内部を写した画像に「#工場萌え」というハッシュタグをつけて、東電がSNSの公式アカウントに投稿しました。事故現場の写真に工場の景観などを愛好する意味の言葉を添えるとは。これほどの悲惨を忘れたかのような振る舞いです▼東電の裁判では当時トップにいた経営陣が「津波は予測できなかった」「自分には責任や権限がない」とくり返しました。必死に前を向こうと生きる被災者たちに追い打ちをかける無神経さと無責任さ。それは各地で原発再稼働を強行する今の政権にもつながります。


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