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2018年10月13日(土)

きょうの潮流

 生きているとはどういうことか。それを大本とする生命科学の研究に光を当てた今年のノーベル医学・生理学賞。受けた本庶佑(ほんじょたすく)さんの著書『ゲノムが語る生命像』は示唆に富んでいます▼昨日の本欄にも通じますが、遺伝情報の解明で地球上の生物は一つにつながっていることが事実となった。われわれは一つの生命体から何十億年もかかって進化してきた一族の一員である。そして、進化の過程の多様性こそ生命体の本質だと説きます▼人類が肌の色や民族のちがいを強調し、命さえ奪い合ってきた愚かさを教えてくれます。性暴力の根絶を訴えノーベル平和賞を受賞した2人の背景からも少数民族の迫害や民族紛争がみえてきます▼口にするのもおぞましい民族浄化や戦時下の集団レイプは、差別化をはじめ優位性の誇示や恐怖心を植え付けて支配しやすくする手段とされてきました。まさに「戦争の兵器」として▼戦前の日本軍慰安婦問題も根っこは同じです。過去の話ではありません。今もヘイトスピーチによる人種差別、女性や性的少数者をおとしめる発言が政権与党から相次いでいます。人びとの間に格差をひろげる社会はこうした意識を助長します▼「人間社会において個性と多様性を尊重することが、種の存続にとってもきわめて重要」と本庶さん。動物としてのヒトが社会生活を営み、他を脅かすことなく、それぞれが幸福な生活を送るにはどうしたらいいのか。未来を開く鍵は進化を含めたわれわれ自身の歴史のなかにある、と。


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