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2018年9月19日(水)

論戦破たんの佐喜真陣営

沖縄知事選

写真

(写真)聴衆と握手するデニー候補=16日、沖縄県浦添市

 中盤に入った沖縄県知事選(30日投票)。論戦では翁長雄志知事の遺志を継ぎ、名護市辺野古の新基地を造らせないと訴える「オール沖縄」の玉城デニー候補が基地問題でもくらしでも優位に立ち、安倍政権丸抱えの佐喜真淳候補は破たんに直面しています。それだけに、なりふりかまわず期日前投票への大量動員で突破を図ろうとしています。

基地推進の地金むき出し

辺野古「国が決めること」

 地元紙の世論調査(琉球新報17日付)では、県知事選で重視する政策として、「基地問題」が41・6%で最多となり、7割が辺野古新基地反対の意思を示しています。「新基地ノー」「辺野古埋め立て承認の撤回を断固支持します」と表明するデニー候補の訴えは有権者に浸透しています。

 一方、「辺野古隠し」で逃げ切ろうとした佐喜真陣営の戦略は有権者の前に完全に破たん。それどころか、候補者討論会で「基地問題は国が決めること。われわれには限界がある」「(辺野古新基地の出発点になった)SACO合意が原点」と述べるなど、「新基地推進派」の地金がむき出しになっています。

 佐喜真氏は普天間基地を抱える宜野湾市長だったことから、「普天間飛行場返還ができるのは私だけ」などと豪語していました。しかし、そう豪語すればするほど、「どこに移設するのか」と問われるため、最近は「普天間」への言及も極度に減っています。

 しかも、2年前の市長選で公約していた普天間基地の「2019年2月までの運用停止」について、県知事選で一度も言及しておらず、有権者の強い怒りを買っています。

 16日、佐喜真氏の応援で沖縄入りした菅義偉官房長官も、「基地負担の軽減」はいうものの、普天間基地の「返還」も「危険性除去」も触れていません。「辺野古のへの字」どころか、「普天間のふの字」も言えなくなっているのです。

 デニー氏は来年2月までの運用停止と、「建白書」を実現し、普天間基地の即時閉鎖・撤去を訴えています。

給食費無料化実現できず

「宜野湾で行った」宣伝するが

 基地問題でまともな論戦ができなくなった佐喜真陣営は、県民所得が全国平均を下回っていることをあげ、「県民所得の向上」を最大争点にしようと躍起になっています。

 佐喜真氏は「県民所得が全国最下位の215万円」であり、「300万円に引き上げる」などと豪語しています。しかし、翁長県政の下で県民所得が仲井真・自公県政時代の197万円(12年)から、翁長県政期に235万円(17年)まで引き上がることは意図的に隠しています。

 さらに佐喜真氏は、「子育て世代のために宜野湾市でも行った、保育料、給食費、そして医療費の無償化を目指す」(16日の街頭演説)などと繰り返しています。しかし、実際は12年、市長に初当選した時の公約だった給食費無料化はついに実現できませんでした。半額助成は実施したものの、その後に値上げすら行いました。

 佐喜真氏は、当時3900円(小学校・月額)だった給食費を就任後1年ごとに4分の1ずつ助成額を増やし、1期目の任期が終わる4年後には完全無料化するとしていました。

 13年4月から半額助成を実施しましたが、それから5年たっても無料化に向けた動きはいっこうになく、18年度市一般会計予算説明資料によると、さらに20年度まで半額助成のままで据え置くための予算計上が予定されています。

 17年4月からは無料化どころか食材費の高騰を口実に給食費を4300円に値上げ。半額助成で月200円の負担増となりました。

 議会で「いつまでに無料化を実現するのか」と追及された市当局は、厳しい財政状況を挙げ、優先順位などを考慮の上で検討すると回答。佐喜真氏は「(市長の)任期の間にしっかりと実現できるように努力する」(今年6月19日)と答弁しました。しかし、そのわずか2カ月後、知事選出馬のため佐喜真氏は市長職を辞し、任期は終了しました。


異常な期日前投票動員

 安倍・自公勢力はこれまで、一連の選挙でとってきた「辺野古隠し」戦略が破たんし、論戦では基地でもくらしでも完全に追い詰められています。それだけに、企業・団体や地域組織の締め付けによる期日前投票をかつてなく強めています。県選管によれば、期日前投票は前回比約2倍、那覇市では3倍超、沖縄市では約4倍になっています。

 デニー候補への有権者の期待は急速に広がっていますが、確実な投票には結びついておらず、組織戦では佐喜真陣営が先行しています。対話・支持拡大の飛躍が急務です。


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