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2018年8月31日(金)

翁長県政 豊かな実績

玉城さんこそ引き継げる

 沖縄県のみならず、日本の地方自治・民主主義に新たな道標を示した「オール沖縄」県政。辺野古に新基地を造らせない「建白書」の実現を県政の柱とし、「イデオロギーよりアイデンティティー」を合言葉に、県民の心を一つにしようと苦闘してきた翁長県政は、基地問題でも県民のくらしでも、画期的な実績を残しました。この実績は、「建白書」の実現、「辺野古新基地建設阻止を貫徹する」と明言した玉城(たまき)デニー氏でこそ、引き継ぐことができます。


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(写真)沖縄県知事選への立候補を表明した玉城デニー衆院議員=29日、那覇市

新基地反対 政府追い詰め工事遅延

 「辺野古に新基地を造らせないことを県政の柱とし、県の有するあらゆる手法を用いて取り組む」。この言葉どおり翁長雄志知事は就任以来、行政権限の行使や政府や米国との対話を模索するなど新基地阻止に取り組み、政府を追い詰めてきました。

 2015年1月に前知事による埋め立て承認について検証する第三者委員会を設置。同年6月には「辺野古新基地建設問題対策課」を発足しました。

 同年8月、強引に工事を進めてきた安倍政権は工事を停止。1カ月の「集中協議」を行いました。安倍政権が沖縄への理解を示さず、交渉が決裂して工事を再開しましたが、10月、翁長知事は第三者委の「法的に瑕疵(かし)がある」との検証結果も踏まえ、埋め立て承認を取り消しました。

 これに対して安倍政権が代執行訴訟を提起し、裁判闘争となりましたが、和解が成立。工事が止まりました。

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 翁長県政の取り組みが県民のたたかいとも相まって工事は大幅に遅延。防衛省沖縄防衛局の「埋め立て承認願書」の工程表の通り進めば、今年6月時点で工事はほぼ完了する予定でした。しかし、現在でも護岸は辺野古側だけの基礎部分ができているだけで高さも足りず、8月17日に予定していた土砂投入も延期せざるを得ませんでした。辺野古対策課によれば工事は「約3年遅れている」状態です。

 翁長知事は埋め立て承認の「撤回」を表明。さらに軟弱地盤や活断層の問題もあり、「工事の展望をなくしているのは沖縄防衛局」(土木工事に詳しい沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏)です。

 共同通信社が25、26日に実施した世論調査によると、米軍普天間基地の辺野古への「移設」(新基地建設)について政府方針を支持しないとの回答は44・3%にのぼり支持の40・3%を上回りました。翁長知事は、4回の訪米や国連人権理事会での発言など、世界に向けても基地問題を発信してきました。

 辺野古の現場で座り込みに参加している豊見城市の新城富秀さん(74)は、「翁長知事は全国に沖縄の現実を訴え本土の人が関心を持つきっかけをつくった。みんな翁長知事の頑張りに励まされた」と話します。

 玉城候補は29日の出馬会見で、翁長氏が最後に着手した辺野古埋め立て承認の撤回を「全面的に支持する」と表明し、新たな県政で「しっかりと翁長知事の遺志を引き継ぎ、辺野古新基地阻止を貫徹する立場だ」と述べました。この玉城氏こそ翁長県政を引き継げます。

好調経済 基地に頼らぬ振興追求

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 翁長県政は基地のない沖縄を掲げる「21世紀ビジョン」の実現に向けて、基地に頼らない振興策を追求し、沖縄経済は今、好調です。

 翁長県政は、沖縄県の自立型経済の発展のため、アジア経済の活力を取り込むことなどを目的とする「アジア経済戦略構想」を2015年9月に策定しました。

 北京や香港、台湾、シンガポールなどへのトップセールス外交を展開。沖縄の入域観光客数は、12年の592万人から17年は958万人と1・6倍に。観光収入も同5年間で3997億円から6979億円へと1・75倍となりました。

 県内総生産も12年の3兆7088億円から17年は4兆4664億円(実績見込み)。1人当たりの県民所得は197万6千円から231万1千円となる見込みです。沖縄県の完全失業率は、12年の平均は6・8%でしたが、17年は同3・8%にまで下がりました。

 翁長県政の下で、全国初の県独自の子どもの貧困についての調査を実施。16年1月に、沖縄県の子どもの貧困率は、全国の2倍近い29・9%であることが明らかになりました。

 翁長県政は、同年を「子どもの貧困対策元年」と位置付け、6年間の「県子どもの貧困対策計画」を策定。基金の創設、県民運動組織も立ち上げました。全国的にも例のない県による就学援助への補助、県独自の給付型奨学金の実施など対策を強化しました。

 10月から未就学児の医療費の窓口無料、経済的に厳しい一人親世帯の高校生のバス通学費の半額補助が始まります。

 知事選をたたかう玉城候補は出馬表明会見で、「地元の企業を大切にし、働く皆さんの笑顔を増やし、ユイマール(相互扶助)のチムグクル(精神)で自立と共生の沖縄を目指す」と強調しました。

 「生まれてくる子どもたち、明日を担う若者たちに、平和で真に豊かな沖縄、誇りある沖縄、『新時代沖縄』を」と訴えました。

日米地位協定 不平等告発し全国波及

 全国の米軍専用基地の7割が集中している沖縄県では、米軍機事故や騒音、環境汚染、犯罪などの基地被害で県民の人権や尊厳が踏みにじられ続けています。しかし、米軍に特権を与えている日米地位協定が壁となり、十分な事故の調査や原因究明を行えず、犯罪被害者へ賠償もまともに行われていません。翁長知事は「いまの日本のアメリカに対しての従属は、日本国憲法の上に日米地位協定がある」(7月27日の記者会見)と告発しました。

 沖縄県は、他国の地位協定や米軍基地の運用状況について調査を実施し、3月に「他国地位協定調査中間報告書」をまとめました。

 大規模な米軍基地を抱え、米国と地位協定を結んでいるドイツとイタリアを現地調査。日本では原則として米軍に国内法が適用されず、訓練などへ規制権限もない一方、ドイツ、イタリアは自国の法律を米軍にも適用させることで主権を確立しているなど、日米地位協定の不平等性を明らかにしました。

 翁長知事は全国知事会で沖縄の状況を訴え続けてきました。その結果、「米軍基地負担に関する研究会」が設置され、共通理解を深めていきました。7月27日には全国知事会では初めて、「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択。「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させる」ことなどを盛り込み、8月には政府に提言を提出。地位協定の問題が全国的に広がりました。

 玉城候補は、出馬会見で「保守政治家であった翁長知事が、自ら先頭に立って、沖縄の過重な基地負担のありようを国民に問い、全国知事会で日米地位協定の不平等を知らせ、この先何十年もこれで良いのかと、主権国家としてこれで良いのかと、この国はこれで良いのかと、発信し続けてきたことがやっと浸透し始めてきたのではないかと思います」と述べています。

相手候補は―

翁長氏を攻撃 政権との「協調」主張

 一方、知事選への立候補を表明している佐喜真淳前宜野湾市長はどうか。新基地推進の安倍政権・自民党の全面的な支援を受けながら、辺野古新基地について語らない一方、翁長知事の取り組みについて「国との関係などにおいて、争いが絶えず、ひずみや分断が生まれてしまったことも事実ではないか」(8月14日の出馬表明会見)と攻撃し、国との「協調」をうたいました。

 しかし、翁長知事の就任後4カ月も会おうとせず、新基地反対の民意に聞く耳を持たずに工事を強行してきた安倍政権との「協調」をいう佐喜真氏に県政を任せることはできません。


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