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2018年8月25日(土)

「派遣切り」の危険 3年期限来月30日

直接雇用・正社員化が焦点に

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 改定労働者派遣法の施行から3年となる9月30日を機に、派遣労働者が「雇い止め」される危険が浮上しています。派遣受け入れの3年の期間制限が来るからです。「派遣切り」を許さず、直接雇用・正社員化のたたかいが焦点となっています。

 労働者派遣とは、ある使用者が雇用する労働者を、第三者の指揮命令下で働かせることです。

 労働者を送り込んで働かせることは戦前、「口入れ」と呼ばれた「人貸し業」にあたるため戦後、職業安定法で禁止されました。

 そのため、1986年に労働者派遣として合法化されるにあたっては、対象者が広がらないことや、正社員の代替にならないようにするため、対象業務を限定していました。

 しかし、財界の要求を受けて1999年と2003年に派遣法が大改悪され、製造業にまで解禁されるなど派遣労働者は大きく増加しました。08年には、リーマン・ショックを理由に大量の「派遣切り」が行われ、救援の「年越し派遣村」が設置されるなど大きな社会問題になりました。

 これを受けて民主党政権下の12年に一定の改定が行われました。ところが、自民党政権になると15年に大改悪を行い、9月30日から施行されました。

 この改悪では、さまざまな「抜け穴」がありながらも派遣期間は業種を問わず3年に制限されました。9月末で施行から3年を迎えることから、派遣先に直接雇用されるか、雇い止めされるかの岐路に立つ労働者が多数います。「派遣切り」が多発する可能性もあり、労組や弁護士、学者らは「2018年問題」と呼んで、たたかいを呼びかけています。

安易な延長認めず

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(写真)派遣法改悪案に反対してシュプレヒコールをあげる雇用共同アクションの人たち=2015年9月3日、参院議員会館前

 15年改定では、それまでの「業務単位の派遣期間の制限」は廃止され、(1)事業所単位(2)個人単位での二つの制限に変わりました。

 派遣先が同一事業所で派遣労働者を継続して受け入れることができる期間は原則3年となりました。ただし、派遣満了の1カ月前までに過半数労組などの意見を聴取すれば期間を延長できます。異議が出されても、検討し説明すればよいとされています。しかし、意見は十分尊重するよう努めなければならないと指針で定めており、「労働者の意見を無視して延長するな」と迫ることが重要です。

 また、「個人単位の期間制限」により、3年を超えて派遣を受け入れる場合、派遣労働者を入れ替えるか、所属組織(「課」など)を変えれば、永続して派遣を利用できるようになりました。

 しかし、派遣は臨時的・一時的なもので、常用雇用に代わるものではないことが原則です(派遣法25条)。派遣期間が来てもなお派遣労働が必要な場合、派遣期間を延長するのではなく、その派遣労働者を直接雇用することが求められます。

 15年改定では、派遣元が派遣労働者に対し「雇用の安定措置」を取ることが義務付けられました。(1)派遣先に対し直接雇用を求める(2)新たな派遣先の提供(3)派遣元で派遣以外での無期雇用(4)有給での教育訓練など―です。直接雇用は派遣先の努力義務にとどまるなど不十分ですが、活用することができます。

 また派遣元には、「段階的かつ体系的な教育訓練」、正社員化や能力向上に関する相談を行う「キャリアコンサルティング」などが義務付けられました。派遣先には正社員募集の際、派遣労働者に周知することも義務付けられました。これらも活用しながら、直接雇用・正社員化を実現させることが必要です。

違法なら直接雇用

 また、12年改定では一定の場合に派遣先への直接雇用を義務付ける規定(労働契約申し込みみなし制度)が設けられ、15年10月から施行されています。

 派遣先が、(1)派遣禁止業務(港湾運送など)に従事させる(2)無許可の事業主から派遣を受け入れる(3)事業所単位の期間制限に違反(4)個人単位の期間制限に違反(5)偽装請負(派遣の規制を逃れるために請負を装う)―の場合に適用され、派遣先が派遣労働者に直接雇用を申し込んだものとみなされます。労働者がこの申し込みを承諾すれば、労働契約が成立し直接雇用されます。

 ただし、直接雇用の労働条件は、「派遣元と同一」とされており、有期契約の場合は、直接雇用されても有期契約のままであり、期限が来れば雇い止めされる危険があります。労働契約を無期契約にするなど派遣先の正社員と同一の労働条件にさせることが重要となっています。


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