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2018年8月6日(月)

ARF外相会議で北朝鮮 米に“非核化は段階的に”

地域諸国、米朝声明履行求める

 【シンガポール=井上歩】27カ国・地域機構がアジア太平洋の安全保障問題を話し合うASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)外相会議が4日、当地で開かれ、朝鮮半島情勢などを議論しました。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は会議での発言を公表し、非核化に向けた措置に対して同時並行の行動をとるよう米国に求めました。


 会議には米国のポンペオ国務長官、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と日中ロの外相も出席。李氏は発言で「朝米共同声明を誠意と責任をもって履行する決意を堅持している」と表明しました。

 李氏は同時に、核・ロケット発射実験の停止や核実験場の廃棄などの措置を北朝鮮がとったにもかかわらず、米国が対応する措置をとらず、制裁継続を求める声を強め、朝鮮戦争の終結宣言にも後ろ向きであると不満を表明。「同時並行で段階的に行動し、信頼を醸成するのが非核化の近道だ」と強調し、米国に対し北朝鮮の行動が一方的とならないよう「懸念を取り除く行動」を求めました。

圧力継続を米国が主張

 ポンペオ長官はARFに先立つ記者会見で、時間はかかっても非核化に「楽観的」だと述べつつ、「外交的・経済的圧力をかけ続けなければならない」と強調。ARF、東アジアサミット外相会議など一連のASEAN関連会議でも制裁を厳密に継続することを求めました。

 外交筋によると、ARFなど一連の会議は全体として国連安保理決議の履行と完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島の非核化を支持。南北と米朝の首脳会談を歓迎し、米朝共同声明の履行を通じた非核化と平和体制構築への前進を促しました。

 ASEAN諸国のなかには、北朝鮮に対し、決議に基づく制裁の解除は容易でないと説明し、さらなる非核化措置の履行を求めた国もありました。

 シンガポールのバラクリシュナン外相は閉幕会見で、米朝間の対話の進展が非核化問題を議論する国際会議の「トーンを変えた」と明らかにしつつ、「重要な一歩だが長い道のりの一歩にすぎない」とクギを刺しました。

 南シナ海問題でARF外相会議は、ASEAN諸国・中国間の行動規範作成交渉に進展があったことを歓迎。その一方で、ミサイル配備など南シナ海の軍事拠点化をめぐって、日米や一部のASEAN諸国などが懸念を表明し、非軍事化や自制、法の支配などを求めました。

 これに対し中国の王毅(おう・き)外相は4日の記者会見で南シナ海の軍事化で地域を不安定にしているのは米国だと逆に非難。会合でも「部外者」は南シナ海問題に介入すべきでないと主張したといいます。

 一連のASEAN関連会議の期間中には、米中の貿易摩擦も激化。王毅氏は「仕掛けてくるなら反撃する」と発言し、中国政府は米トランプ政権の追加関税に対する報復関税を発表しました。


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