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2018年7月31日(火)

きょうの潮流

 ことし100歳を迎えた教育学者の大田堯さん。いまも「教育とは何か」を問い続けています▼その大田さんが、JT生命誌研究館館長・中村桂子さんとの対談を収めた『百歳の遺言』で、全国学力テストについてこう語っています。「子どもを皆、モノのように扱って、数値の中で束にしてしまう。それで何県が一番になったとかが大新聞の一面に出る」▼文部科学省は近く、今年4月に実施した全国学力テストの結果を公表します。都道府県や政令市の成績が示され、自治体によっては学校ごとの成績公表も。その結果、点数競争が起き、学力テストが最優先課題になります。振り回されるのは学校、教師、そして子どもたちです▼点数アップのために過去の学力テストの問題=通称「過去問」を、何度も子どもにやらせます。そのためにほかの授業や行事がつぶれ、学力テスト実施直前の春休みは宿題漬け。まさに子どもがモノのように数値によって束にされています▼文科省はテスト結果に基づいて指導すれば「学力向上」になるといいます。しかし「過去問」を繰り返させることがなぜ「学力向上」になるのか。専門家からも「今のテスト主義は、知識中心といわれているが、実際は知識などつけさせていないのではないか」(北野秋男ほか『現代学力テスト批判』)と疑問が出ています▼学力テストの点数が上がったからといって、その子が幸せになるわけではありません。文科省さん、こんな全国学力テストはもうやめてはどうですか?


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