しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら

2018年7月7日(土)

オウム事件 防げなかった責任 警察や行政に

住民と危険性を告発した元上九一色村共産党村議 竹内精一さん(90)

 オウム真理教の施設があった山梨県の旧・上九一色(かみくいしき)村で住民とともに危険性を告発した竹内精一・元日本共産党村議と宗教ジャーナリストの柿田睦夫さんに、事件の背景と教訓について聞きました。

 松本智津夫死刑囚の死刑執行で、事件の主要な真実が明らかにされず終わりになってしまったのが残念です。オウム真理教が、殺人から地下鉄サリンまで起こしたその経緯、多くの若者が入信し平気で人を殺す集団になっていったかは明らかになっていません。行政や警察の対応も、あまりにも悪かった。オウムが悪かっただけではすまされません。どうして阻止できなかったかを反省しなければいけません。

 1989年にオウム真理教が上九一色村に進出して以降、廃液の垂れ流しや掘削による騒音、私たちに対する監視や脅迫などいろいろな問題がありました。日本共産党は住民といっしょに、告発し危険性を訴えてきました。

 松本サリン事件(94年6月27日)のときにも、私たちは最初から「あれはオウムだ」と訴えてきましたが、警察は被害者の河野義行さんを犯人扱いし、誤認捜査しました。私たちの告発を聞いていれば、地下鉄サリン事件は防ぐことができたはずです。防げなかった責任は、行政や警察にもあります。

 松本死刑囚以外の人の死刑を執行していいのだろうかという思いもあります。戦争中の日本の軍隊と同じで、「やれ」と命令されてやったという面があったのでは。

 オウムが上九一色村に進出していた当時、信者に対し「あんたたちはここにいるべきではない。帰らないといけないよ」と話してきました。

 私は、戦争にいった最後の世代です。中国で、人としてやらなくてもいいことをやっていました。私は戦争の被害者だが、中国の人民にとっては加害者だ、あなたたちもオウムの被害者かもしれないが、信者としては加害者なんだと伝えてきました。

 この事件を教訓に、社会の在り方、国民の命やくらしを守る行政や警察の在り方を考えていかなければいけないと思っています。

幕引きにならない

宗教ジャーナリスト 柿田睦夫さん

 死刑執行で幕引きにはならないということです。オウム真理教家族の会(旧被害者の会)や日本脱カルト協会が、松本智津夫死刑囚を除く12人の死刑執行を猶予するよう求めていました。命乞いではなく、彼らにはもっと真実を語らせなくてはいけないからです。

 なぜ、彼らが、自分の頭で考えることを放棄し、教祖のいうがままに動く人間に変わっていったのか―。いまも絶えないマインドコントロール被害を防ぐための教訓にしないといけないと思います。

 オウム事件には多くの謎が残っています。1989年の坂本弁護士一家殺害事件では、当初からオウムの関わりが指摘されていました。もし警察がもう一歩踏み込んでいれば、その後の事件はなかったはずです。松本サリン事件では捜査がオウムに向かわず、誤認捜査をしました。警察が地下鉄サリン事件まで、なぜオウムの捜査に及び腰だったのか、まったく解明されていません。

 被害者の家族たちがオウムを宗教法人として認証しないよう求めたのに、東京都は89年に認証しました。山梨県もオウム施設の違法建築について通報があったのに、有効な動きはしませんでした。

 「宗教団体だから」「信教の自由がある」は言い訳にはなりません。オウムの犯罪は、宗教法人であるかは関係ないのです。にもかかわらず警察も行政も、地下鉄サリン事件が起きるまで動かなかった。これらの謎が解明されるまで幕引きにはなりません。


pageup