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2018年7月4日(水)

ロシア発ゴール

「日本は衝撃的」たたえ合う赤と青

 力尽きて倒れ、天を仰ぐ香川選手に歩み寄ってくる選手がいた。

 ベルギーの10番アザール選手だ。彼は香川選手をねぎらうようにその顔をのぞき込み、何やら声をかけていた。乾選手にも手を差し出した。FWルカク選手は香川選手の体をゆっくりと引き起こし、がっちりと握手を交わした。

 2人とも「君たちは胸を張っていい」とでも言っているようだった。

 日本は世界ランク3位の“赤い悪魔”をあと一歩まで追い詰めた。

 後半3分に先制し、7分に加点した。その後、相手はミスが増え焦りの色すら見えた。しかし後半24分、ふわりとしたヘディングが偶然にもゴールしたのを機にベルギーは一段ギアを上げた。最後は終了間際の速攻にやられた。

 日本はこの試合で日本らしいサッカーを披露した。体は小さくとも高い技術、集団の力でたたかう。何より監督と選手が意見を出し合いつくりあげたパスサッカーを洗練していった。日本の良さを凝縮したサッカーが世界でこれだけできると示した意味は大きい。

 試合後、ベルギーのマルティネス監督は「日本を祝福しよう。彼らは完璧な試合を演じた」と話した。DFコンパニー選手は「今日の日本は衝撃的に良かったということ。彼らは懸命に走り回り、戦術的熟練者だった」と称えた。

 劇的な試合の後、ピッチでは双方の選手、スタッフらの熱い抱擁が続いた。日本の青とベルギーの赤が混じり合い溶け合う、美しい光景がそこにあった。

(和泉民郎)


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