しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月2日(土)

主張

経団連会長交代

安倍政権との危険な二人三脚

 日本経済団体連合会(経団連)が総会を開き、会長が榊原定征東レ相談役から中西宏明日立製作所会長に交代しました。もともと自民党政権の応援団役の経団連は、榊原前会長の下、企業献金のあっせんを復活させるなど、政権との“蜜月ぶり”を露骨にしてきました。安倍晋三政権も経団連と「二人三脚」(総会での首相あいさつ)で、大企業のもうけを最優先させる「アベノミクス」を進めてきました。会長が代わってもその関係は変わりません。消費税増税や社会保障削減、「働かせ方」改悪、原発推進など、政権と一体の危険な行動に批判が必要です。

財界最優先の政治・経済

 榊原氏は、その前の米倉弘昌会長が金融政策などで首相との「不協和音」が取りざたされたのを受け、「政治との連携強化」を掲げてきました。就任から間もなく経団連として会員企業に献金を呼びかけるあっせんを復活し、経団連が示した政策評価で自民党を高く評価して献金をつのる、事実上の政策買収を続けてきました。営利が目的で参政権がない企業や団体の献金は、国民の政治参加を妨げる、金権・腐敗政治の温床です。

 昨年発表された直近2016年の政治資金収支報告(総務相届け出分)でも、自民党の政治資金団体、国民政治協会への企業などの献金は23億円余りに上ります。国民政治協会を通さない献金もあり、当時の経団連会長企業の東レは5000万円、日立は関連会社と合わせ3150万円です。

 中西氏は首相を囲む「さくら会」のメンバーで、「政治と経済界が対立することがあってはならない」とか「経団連が政治寄付の呼びかけを行うことに反対しない」などと発言しています。献金を通じた政権との“蜜月”を根本から変える姿勢はありません。

 経団連会長は首相などと面談を繰り返し、政権の経済政策の司令塔「経済財政諮問会議」にも参加して政策を牛耳ります。大企業の利益を最優先する政策は、財界の財界による財界のための政治です。「アベノミクス」の下、大企業のもうけは記録的な水準です。

 中西氏はこれまでも政府の「未来投資会議」の議員を務め、経団連では大企業のための「成長戦略」である「ソサエティー5・0」を推進してきました。「(消費税率を)10%にしてもまだまだ他の国の水準からは低い」とか、社会保障の削減に「もう一歩も二歩も踏み出さないといけない」と国民の負担増を要求します。裁量労働制の拡大や残業代をなくす「高度プロフェッショナル制度」の導入も公言します。

 就任後の記者会見では首相が執念を燃やす改憲にも「柔軟に考えるべきだ」と前のめりです。新会長の言動から目が離せません。

原発推進政策の拍車にも

 見過ごせないのは日立が原発メーカーで、国内で原発建設を進めるとともに、イギリスへも輸出を目指し、日英両政府に支援を求めていることです。中西氏自身、原発は「必要な技術」と、推進の立場を隠しません。中西氏の経団連会長就任が、政権と一体になった原発の建設や輸出に拍車をかける危険は軽視できません。

 原発の建設や輸出には国内だけでなくイギリスなどでも反対が広がっています。身勝手な大企業の行動に国民の監視が不可欠です。


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