しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月26日(土)

きょうの潮流

 「戦争と日本人」という題にひかれ、東京・北千住の1010ミニシアターの芝居(28日まで)を見に行きました。舞台「センポ・スギハァラ」で知られる平石耕一さんと、『人は見た目が9割』というベストセラーを持つ竹内一郎さん。2人の劇作家の作・演出による2本立てです▼平石さんの「平成のほほ笑み」は、「不運」続きの現代の家族の物語。戦争の話はほとんどなく、言葉遊びやミュージカル場面を通じて、戦争がない「幸運」を描く、逆転の発想が見事でした▼竹内さんの「若者たち2018」は、冒頭からの戦闘シーンに驚かされます。ネットの戦争ゲームで知り合った若者たちが、仮想空間を抜け出して、夢に向かって歩きはじめます。歌と踊りで弾けるような舞台でした▼対照的な作風のこの2人、実は4年前に亡くなった劇作家の津上忠さんを共通の師と仰ぎます。15年前には津上さんも含む3人で「戦争と日本人」を競作しました。今回は津上忠追悼と銘打った第2弾です▼1924年生まれの津上さんは戦争中、マルクス主義文献にふれ、この戦争は侵略戦争だと理解したと話していました。戦後、劇作家を志すとともに、ただちに日本共産党に入党。党員として人生をまっとうした反戦反骨の人でした▼民主主義文学会の副会長もつとめ「人間を描け」が口癖だった津上さん。前進座の座員として、楽しめる大衆的な舞台づくりを目指した生涯でした。まな弟子たちの舞台には、そのDNAが確かに受け継がれています。


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