しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月20日(日)

きょうの潮流

 セオドア・ルーズベルト米大統領が1905年、ある大学スポーツの禁止をほのめかしました。その年に死者18人、重傷者159人が出て社会問題化していたからです▼アメリカンフットボールは当時、黎明(れいめい)期。粗暴で危険な試合が頻発していました。ルール変更や安全な用具開発などが提起され、なんとか存続へ。このとき危険な密集プレーを減らすため、前方へのパスが認められました▼そのアメフットが波紋を広げています。日本大学の選手が関西学院大学の選手に、悪質なタックルでけがを負わせた問題は19日、日大の内田正人監督が辞任を表明する事態となりました▼プレーと関係ない場で、相手の背後から突っ込む無謀な行為。「ああいうのを認めてしまうとスポーツではなくなる」と関学大から強い抗議を受け、説明が求められていました。辞任はしごく当然のことでしょう。それほど競技に泥を塗るふるまいだからです▼競技規則の冒頭には「フットボール綱領」というものがあります。そこには「故意に相手を傷つけることは絶対に許されない」といったフェアプレーが説かれています。コーチの倫理として「意図的な乱暴な行為を教えることは…プレーヤーの道徳の低下をもたらす」とあります▼今回の事態に至ったのはなぜか。監督の指示はなかったかなど真相解明が次なる作業です。内田監督は後日「文書で」としています。求められるのは事実にたいする誠実さと「綱領」の精神です。信頼回復はそれ以外にありません。


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