しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月26日(月)

主張

自民大会総裁演説

9条改憲実現への異常な執念

 自民党は党大会で、安倍晋三総裁(首相)が推進してきた改憲を、条文案で決定するというもくろみは実現できなかったものの、改憲「推進本部」で検討してきた9条に自衛隊を明記するなどの方針を確認しました。衆参の憲法審査会に示して国会発議を目指すとしており、安倍改憲を阻止するたたかいは一刻の猶予もありません。安倍氏は大会での演説で「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む」と意欲をむき出しにしており、改憲への執念は異常です。改憲に反対する国民世論と「森友」公文書改ざん問題などで高まる政権不信に逆らうものです。

安倍改憲に反対する世論

 安倍氏が2012年末に首相に復帰してから5年余り―。秘密保護法や戦争法、「共謀罪」法の制定など憲法を踏みにじる政治を続けたのに加え、昨年の憲法記念日に改憲派の集会等で安倍氏が、9条に自衛隊を書き込むなどの改憲を提案し、20年から施行すると発言したのを受け、明文改憲の動きは一気に押し出されてきました。

 昨年10月の総選挙でも、自衛隊の明記、緊急事態条項の創設などの改憲案を提案し、国会発議、国民投票を目指すと公約に明記しました。首相や国会議員に求められる憲法の尊重擁護義務を踏みにじり、安倍氏の改憲タカ派としての本質をむき出しにしたものです。

 自民党は総選挙後、安倍氏の出身派閥の細田博之氏をトップに改憲のための「推進本部」を本格稼働させました。安倍氏自身も通常国会の開会にあたって改憲「実現の時」を迎えているとのべるなど、改憲案づくりを督促してきました。党大会までに自民党案をまとめて国会に提案、3分の2以上の議員の賛成で発議を目指すというのが当初描いたスケジュールです。

 自民党大会で改憲の自民党案が条文まで決定できなかったのは、そうした策動が重大な壁に突き当たっていることを示すものです。党内や与党内での異論に加え、最近の世論調査でも「森友」公文書改ざんなどで内閣支持率は急速に低下しています。安倍政権の下での「憲法改正」に「反対」が51・4%(共同通信、19日付「東京」など)、安倍政権の9条改憲に「反対」が51%(「朝日」同日付)など、過半数の国民が安倍改憲の強行に同意していません。

 それにもかかわらず、安倍氏が大会での演説で「(自衛隊)違憲論争に終止符を打つ」などと意気込んだのは、改憲へ突き進む執念を浮き彫りにしたものです。国民の意向を踏みにじる姿勢自体が、国民主権や立憲主義に反するものであり、安倍改憲を阻止することがいよいよ差し迫った課題です。

「戦争する国」復活許さず

 条文案決定には至らなかったものの、憲法に自衛隊を書き込むなどの「たたき台素案」をまとめたことは重大です。過去の侵略戦争への反省から戦争を放棄し、戦力不保持と交戦権否認を明記した憲法に自衛隊を書き込めば、9条を空文化して、海外で無制限に武力を行使する「戦争する国」に道を開きます。これまで歴代政府が自衛隊「合憲」の根拠にしてきた「必要最小限度」という文言さえ削除し、「必要な自衛の措置」の名で集団的自衛権の行使まで認めようとしているのは重大です。

 歴史にも世論にも逆らう安倍改憲を、絶対に許してはなりません。


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