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2018年2月20日(火)

生活保護 電話相談 傷病で困窮多数

「車あるから」「家族の援助得よ」

申請阻む“水際作戦”の実態

全国青年司法書士協議会

 生活保護に関する相談者の多くが病気や障害を理由に失業・無職になり、生活困窮に陥っている―。そんな実態が全国青年司法書士協議会(全青司、広瀬隆会長)が行った電話相談「全国一斉生活保護110番」の結果から、明らかになりました。


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 電話相談は1月28日、全国20都道府県で実施。寄せられた相談は214件で、うち生活保護を利用している人からは92件、利用していない人が112件、それ以外が10件でした。

 保護を利用していない相談者は60歳以上が50人と過半数でした(不明除く)。

 生活が困窮した理由は、病や障害が原因で「失業・無職」との回答が最も多く33件、「年金が少ない・無年金」が28件でした。

 これらの電話相談のうち相談や保護申請のために福祉事務所へ行ったという27人の中には、「車があるから利用できない」「家を処分しなさい」など保護の申請をさせない“水際作戦”とみられる対応がありました。事務所で“水際作戦”のうち最も多かったのは「家族(親族)に援助してもらいなさい」と言われるケース。こうした対応で保護利用を諦めさせている可能性が高いといいます。

 保護利用者からの相談は、30~50代が30人で60歳以上とほぼ同数でした。

 2018年度予算案に盛り込まれた保護基準引き下げで56・5%の人が影響を受けると答えています。

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 保護利用者からは困っていることとして、「生活が苦しい」との相談が21件、「ケースワーカーの対応」が15件。「洗濯機が壊れたのに買い替えられない」などの相談がありました。

 保護基準引き下げが続き、生活がさらに困窮している実態が明らかになりました。

 全青司人権擁護委員会の松井修一委員長は「保護を利用する人もしていない人も相談者の多くが病気・障害で困窮し、生活保護が最後のセーフティーネットになっている」と話しました。

 全青司の広瀬隆会長は「生活保護は、就学援助や最低賃金、住民税の非課税基準など多くの制度の基準になっている。保護基準が下がれば、国民生活への影響は甚大です」と指摘。安倍政権が狙う保護基準引き下げについて「引き上げが必要で、引き下げは中止すべきです」と強調しました。


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