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2018年1月26日(金)

財界中心・米国言いなり問う 国民の立場で抜本対案

衆院本会議 志位委員長の代表質問

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 「安倍政権の『働き方改革』なるものは、財界の立場に立った『働かせ方大改悪』」「米軍の言い分をうのみの飛行再開、これで主権国家の政府か」―25日の衆院本会議での代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長は、財界中心、アメリカ言いなりが極まる安倍晋三首相の暴走政治を追及。国民の立場に立った日本共産党の対案を示しました。


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普天間 無条件撤去こそ

沖縄米軍基地

 相次ぐ米軍機の事故に対し安倍政権は米軍の説明をうのみにし飛行再開を容認するなど追随ぶりを際立たせています。さらに、沖縄県名護市辺野古への新基地建設を県民の反対を一顧だにせず進め、危険を増大させようとしています。志位氏は、沖縄県民の安全や民意よりも米国を優先する安倍政権の姿勢を浮き彫りにしました。

 志位氏は、沖縄県の普天間第二小学校に米軍ヘリの窓枠が落下した事故や、今月に入り3件相次いだ米軍機の不時着に言及し「異常事態というほかない」と指摘。米軍の言い分をうのみにし飛行再開を容認することは「許し難い。主権国家の政府と言えるのか」と厳しく批判しました。

 志位氏は、米軍追随姿勢を改め「沖縄のすべての米軍機の緊急総点検と飛行停止を米国に要求すべきだ」と追及。学校、保育園、病院などの上空を「『一切飛行しない』ことを厳重に約束させるべきだ」と求めました。安倍首相は「安全の確保は最優先の課題」などと述べるにとどまりました。

 志位氏は、市街地にある普天間基地(宜野湾市)を海辺の辺野古に移せば安全だとする政府の見解に言及。同基地所属の米軍機が直近の1年余りを見ても沖縄県全土で事故を起こしている(図・表)として「普天間基地を辺野古に移したところで、危険な基地が沖縄にある限り危険は変わらない」と指摘しました。

 志位氏は、普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設の中止、米海兵隊の沖縄からの撤退が「県民の命と安全を守る唯一の解決策だ」と強調しました。

 安倍首相は「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と述べながら「日米同盟の抑止力と米海兵隊の存在は極めて重要」などとして、新基地建設強行を進めると表明しました。

国会招致と文書公表を

国政私物化

 安倍首相が前国会の所信表明演説と今国会の施政方針演説で全く触れなかった森友学園・加計学園疑惑。志位氏は「前国会の質疑で国政私物化の疑惑はいよいよ深まった。幕引きは絶対に許されない」と力を込めました。

 森友疑惑で政府は、財務省から学園側に土地価格の値引きを提案し、値引きの根拠とするごみの量の「口裏合わせ」を図っていたとの音声データの存在を認めています。

 志位氏は「売る側の財務省が値引きを提案するのはあまりに異常だ」と指摘。今月、財務省が学園側との交渉に関連する記録を開示したことに触れ「国会では『記録は破棄した』と答弁していた。国会を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判しました。

 加計疑惑をめぐっては、獣医学部新設の主体が同学園と決まる1年半前から、学園関係者が政府会合に出席していたことに触れ「『加計ありき』としか言いようのない異常事態だ」と強調。安倍首相の妻の昭恵氏、加計学園の加計孝太郎理事長の国会招致と、全ての関連文書の公表を強く求めました。

 安倍首相は「今後もしっかり説明しなければならない」と疑惑の中身は何も語らず、「関係省庁は国会の要請に応じて関連資料を示してきた」と強弁しました。

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撤回し前の水準に戻せ

生活保護削減

 暮らしと経済の問題で志位氏は、安倍政権の5年間で格差と貧困が広がった事実を示すとともに、働く者の立場に立った改革を求めました。

 安倍政権下で大企業の内部留保は400兆円を超え、一握りの超富裕層の資産は3倍になる一方、労働者の実質賃金は年額15万円減少しています。

 志位氏は「格差が拡大し、貧困が悪化した事実を認めるか」と質問。安倍首相は、内部留保の増加や実質賃金の低下には答えず、中間層の貧困化に伴って相対的貧困率が低下したことを理由に「安倍政権の5年間で格差が拡大し、貧困が悪化したとの指摘は当たらない」と強弁しました。

 来年度予算案には、生活保護の生活費にあたる生活扶助基準の最大5%削減が盛り込まれています。2013年の最大10%削減に続く大改悪です。

 志位氏は「低所得世帯の生活水準が下がったから、それに合わせて生活保護基準を引き下げる」ものだとして「安倍政権になって貧困は改善したと宣伝してきたのはウソであり、『アベノミクス』が失敗したことを自ら認めることになる」と指摘。「低所得世帯の生活を支援することこそ、政治の責務ではないか。生活保護の捕捉率は2〜3割と言われている。生活保護行政の欠陥にメスを入れるべきだ」とただしました。

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(写真)衆院本会議で代表質問する志位和夫委員長=25日

 首相は、低所得者の増加にはふれず、生活保護は「適正な運用に取り組んでいる」と現場の実態を見ない答弁をしました。

 今回の削減では子どもの多い世帯ほど削減幅が大きくなります。都市部に暮らす夫婦と子ども1人世帯の場合、年3・6万円、夫婦と子ども2人世帯では年10・8万円の削減になります。(表)

 志位氏は、夫婦と子ども2人世帯の場合「13年の削減と合わせて年37万円もの大幅な減額になる」と指摘。「安倍首相は施政方針演説で『生活保護世帯の子どもたちへの支援を拡充します』と述べたが、やろうとしていることは全く逆だ」と批判しました。

 首相は、「基準が上がる世帯、下がる世帯が生じる」と認めながら、減額となる世帯にはふれずに、地方の母1人、中学と高校の子ども2人の世帯では「11万1千円の増額になる」と、都合のよい数字だけをあげました。

 志位氏は、日本共産党として13年の削減前の水準に戻すことを要求。「今回の削減予算は160億円。『思いやり予算』など米軍経費の今年度の増加分195億円を充てれば『おつり』がくる」と代案を示しました。

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力合わせて企て許さず

9条改憲

 安倍首相が年内の発議に執念を燃やす憲法9条への自衛隊明記について、志位氏は、「9条2項(戦力不保持)の空文化に道を開き、海外での武力行使が無制限となる」と強調しました。

 日本世論調査会の調査(グラフ)で、9条改定は「必要ない」が53%に上ったことを挙げ、「国民多数は、このような改憲を望んでいない」と指摘。「総理の勝手な都合で期限まで区切って改憲を押し付けるのは、憲法の私物化以外の何物でもない」と批判しました。

 安倍首相は、昨年5月に「2020年」と自ら期限を示したことに答えず、「ご指摘は当たらない」と述べるだけでした。

 志位氏は、長距離巡航ミサイルの導入や、自衛艦「いずも」を戦闘機が発着できる「空母」に改修する動きに関し、政府が「憲法の趣旨から」保有できないとしてきた「他国に攻撃的な脅威」を与える兵器そのものだと強調。「自衛隊の装備の面でも憲法解釈をなし崩し的に変更し、『海外で戦争する国づくり』を進めることは断じて許されない」と述べました。

 最後に「日本共産党は9条改憲のあらゆる企てを許さず、9条を生かした平和日本を築くために、思想・信条の違いを超えて力を合わせる」と表明しました。

 安倍首相は「長距離巡航ミサイルが憲法上許されない兵器との指摘は当たらない」と述べ、「いずも」改修について「具体的な検討を行ってきた事実はない」などと述べました。

過労死なくす法改正を

「働き方」改悪

 政府が「働き方改革」の目玉としている「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)は、一定の年収のある労働者の残業代をゼロにし、労働時間規制もなくします。残業時間の上限規制では、繁忙期は過労死水準を超える月100時間の残業を容認しています。

 志位氏は「誰のための改革なのか。メリットがあるのは使用者側だけ。財界の立場に立った制度であることは明らかだ」と強調。電通の高橋まつりさんの過労自殺に対し、安倍首相が昨年の施政方針演説で「二度と悲劇を繰り返さない」と述べたことをあげ「誓いはどこに行ったのか。安倍首相の『働き方改革』なるものは、財界の立場に立った『働かせ方大改悪』にほかならない」と批判しました。

 首相は、残業代ゼロ法案について、指摘された事実には一切答えずに「残業代ゼロ制度との批判は当たらない」と述べました。

 志位氏は、日本共産党として残業代ゼロ法案の撤回を強く要求。「真に働く人の立場に立った労働基準法の抜本改正こそ行うべきだ」と表明しました。

再稼働やめ再生エネに

原発ゼロへ

 志位氏は原発問題をめぐって、安倍首相の認識を追及。どの世論調査でも、原発再稼働反対は5〜6割で揺らいでおらず、「いまや国民的合意になっている」と強調しました。

 原発を再稼働すれば、計算上わずか6年で、原発の使用済み核燃料貯蔵プールは満杯となります。2016年には高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉が決定、使用済み核燃料の再利用も行き詰まっています。

 志位氏は「核のゴミという点からも再稼働推進は完全に破綻している」と批判しました。

 東京電力福島第1原発事故の処理費用は、16年の経済産業省の見積もりで総額21・5兆円で、一部は国民の電気料金に上乗せする方針です。

 原発停止の影響で電気料金が上がっているなどとする首相に対し、志位氏は「コストというなら、原発は究極の高コストだ」と指摘しました。

 追及に対し安倍首相は、福島第1原発事故の惨禍は忘れないとしながら、「再稼働を進めるのは政府の一貫した方針」と答弁しました。

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の試算では、太陽光発電のコストは2020年までに今の化石燃料を下回ります。志位氏は、原発ゼロと再生可能エネルギーの飛躍的普及こそ「現実的で、真に未来ある道だ」と訴えました。


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