「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年12月12日(火)

主張

平和賞の授賞式

核兵器なき世界へ新たな前進

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 核兵器禁止条約採択に尽力したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)へのノーベル平和賞の授賞式が、ノルウェーのオスロで行われました。被爆者や世界の市民、非核保有国政府からあらためて祝賀と歓迎の声が上がっています。

高まる市民社会の評価

 ICANのベアトリス・フィン事務局長とともに式典で演説した、カナダ在住の被爆者、サーロー節子さんは「がれきの中で聞いた言葉をいま皆さんに繰り返します。『あきらめるな、がんばれ、光の方にはっていくんだ』」と語り、核兵器廃絶への不屈の努力を訴えました。その筆舌に尽くしがたい被爆体験とともに、決してあきらめることなく、「核兵器のない世界」という「光」をめざす被爆者の生きざまが、世界の市民と外交官、政治家たちを突き動かしてきたことは明らかです。

 被爆者とともに市民社会は禁止条約実現に決定的役割を果たしました。ある政府代表は禁止条約を議論した国連会議でこう演説しました。「何年も、何十年も活動してきた市民社会の人々に感謝したい。あなた方の献身的な努力や専門的知識、忍耐力によって、今、われわれはここに集まっているのだ」。ノーベル平和賞は、被爆者をはじめ、草の根で献身的な努力をしてきた全ての人々に与えられたものと言っても過言ではありません。

 授賞式に核保有5大国は欠席しました。これらの国は、国際情勢は核抑止力を必要としていると主張、禁止条約への参加を拒否しています。

 しかし、こうした核兵器に固執する勢力に迫る運動は、さらに勢いを増していくでしょう。アントニオ・グテレス国連事務総長は今回の平和賞受賞について、「核兵器が使用された場合の人道的、環境的結末を世に知らしめてきた市民社会の努力が認められた」と述べました。市民社会の役割と能力に対する国際的な評価は一段と高まっています。

 原水爆禁止世界大会が追求してきた諸国政府と市民社会の共同は今後、さらに大きく、豊かに発展するでしょう。「核兵器のない世界」をめざす国際的な運動は、新たな前進をはじめようとしています。

 日本被団協の和田征子事務局次長が11月10日、フランシスコ・ローマ法王に謁見(えっけん)し、「ヒバクシャ国際署名」への協力を訴えました。12億人の信者をもつカトリック教会の最高司教と被爆者の会見は世界的にも注目されました。宗教、思想、政治的立場をこえた「ヒバクシャ国際署名」のダイナミックな発展が期待されます。今後の帰趨(きすう)を決する、諸国民の世論と運動の広がりがいよいよ重要になっています。

問われる被爆国の姿勢

 いま日本政府に求められているのは、「ヒロシマ・ナガサキの体験」にたって、核保有国に核兵器廃絶への決断と行動を訴えること、そして、アメリカの「核の傘」に頼らない道を真剣に探究することです。しかし、禁止条約に反対する安倍晋三政権は先の国連総会で、核兵器廃絶を未来に先送りする、核保有国寄りの決議案を提出して、各国から批判をうけました。

 日本政府に唯一の戦争被爆国としての国際的な責務を果たさせるためにも、「核兵器禁止条約に署名し、批准せよ」と迫る世論と運動の発展が強く求められます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって