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2017年9月23日(土)

主張

年金支給漏れ

受給権守る体制の不備は重大

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 年金の支給漏れがまたもや大量に発覚し、国民の不信と不安を広げています。元公務員の妻などの基礎年金に一定額を上乗せする「振替加算」が約10万6000人に対して行われていませんでした。未払い総額は約600億円にのぼります。一度に判明した支給漏れでは過去最大です。老後の収入の頼みである年金への国民の信頼を損なう大問題です。事態を引き起こした日本年金機構や厚生労働省など関係機関の責任は重大です。

すでに死亡した受給者も

 本来受け取れるはずの月々の年金額が減らされ、しかもそれが長期にわたっていた―。今回判明した支給漏れは、年金受給者に衝撃を広げています。年金機構が設置した専用ダイヤルには問い合わせや相談が殺到しました。発覚直後の4日間で約9万7000件も電話があったのに、6%足らずの5500件程度しか対応できず、利用者はいらだちを募らせました。

 年金機構によれば未支給額は1人平均約56万円、最高は590万円にもなります。20年以上未払いだった人もいます。受け取らないまま約4000人も死亡しました。被害は深刻です。機構は未払いが分かった人に通知、11月に一括支給するとし、死亡している場合も対象になる遺族に支給するとしています。丁寧で万全の体制を講じることが求められます。

 今回の支給漏れとなった「振替加算」は、会社員や公務員だった人と同居する配偶者に、65歳から基礎年金に一定金額上乗せする仕組みで1991年導入されました。

 この仕組みは、日本年金機構内での厳格な事務処理が必要なのは当然ですが、公務員などの年金を扱う共済組合と、年金全般を扱う年金機構という別の組織間での正確な情報共有や連携などが不可欠です。それが確実に行われず実務も複雑化したため振替加算に関する情報が十分把握されていなかったなどというのが年金機構や厚労省の弁明です。

 しかし、20日の衆参の厚労委員会で行われた閉会中審査では、年金機構が早くから今回のような支給漏れをつかみ総点検や再発防止策の必要性を認識しながら教訓が生かされなかったことが、日本共産党の質問などで明らかになりました。事態を放置してきた年金機構などの姿勢が改めて問われます。

 約5000万件の「消えた年金」や、約125万件の年金情報流出問題など年金行政に対する国民の不信は高まるばかりです。年金は、多くの人にとって退職後の唯一の収入といっても過言ではありません。その年金を管理する役割を持つ年金機構などの一連の対応はずさんすぎます。国民の年金受給権を守るという責任と自覚が欠如しているといわざるをえません。

信頼回復へ体制強化急げ

 年金実務に習熟している職員の退職が相次ぐ中、業務の増加で現場は疲弊しています。社会保険庁を解体し年金機構を発足させ、外部委託をすすめ、経験のある職員をリストラし不安定雇用の職員に頼っている矛盾を浮き彫りにしています。2007年に第1次安倍晋三政権が強行した社保庁解体の弊害は明白です。希望する職員の職場復帰、臨時職員の正規職員化など処遇改善は急務です。

 年金受給権を保障できる体制の確立・強化なくして、年金への国民の信頼回復はありません。


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