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2017年7月5日(水)

主張

最低賃金審議会

8時間働けば暮らせる賃金に

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 安倍晋三政権の中央最低賃金審議会(最賃審、厚生労働相の諮問機関)で先週から、今年の最低賃金額についての審議が始まっています。最低賃金には地域ごとの最低賃金と特定の業種ごとの特定最賃があります。現在の地域最賃は、人口を加味した全国加重平均で時給823円です。1日8時間、週40時間、フルタイムで働いても年収は200万円にもなりません。文字通り「ワーキングプア(働く貧困層)」の水準です。国際的にも日本の最低賃金は低く、普通に働けば暮らせるために、最低賃金の大幅引き上げが課題です。

もうけが賃上げに回らず

 最低賃金とは「最低賃金法」にもとづき国が賃金の最低限度を決めるもので、企業はそれ以上の賃金を支払わなければならないというものです。最低賃金以下の賃金を「合意」してもそれは無効で、企業は最低賃金との差額や罰金を支払わなければなりません。

 安倍政権は、金融緩和や減税で大企業のもうけを増やせば、賃金が上がり、雇用も増えるとバラ色の経済政策「アベノミクス」を掲げてきましたが、大企業のもうけはため込みに回るばかりで賃金は上がらず、税金や社会保険料などは負担増のため可処分所得が減って、消費も減退しています。このため安倍政権も「成長」の成果を分配するとして、賃上げや最低賃金の引き上げを口にしてはきましたが、結果は全く不十分で安倍政権が「目標」に掲げる時給1000円にもとても届いていません。

 全国労働組合総連合(全労連)の最低生計費の調査でも1人暮らしの若者が普通に暮らすためには、全国平均で月22万〜24万円、年額270万円前後が必要という結果が出ており、時給に換算して約1500円の最低賃金を実現するというのが切実な要求です。

 しかも地域別の最賃はA〜Dにランク分けされており、最高の東京(932円)と最低の宮崎、沖縄両県(714円)では218円もの差があります。神奈川(930円)と静岡(807円)のように県が隣でもランクが違えば差があります。地域別の格差は年々拡大しています。消費の広がりで最低生活費は全国どこでも大差がないといわれることに照らしても、最低賃金全体の引き上げとともに、地域格差をなくす全国一律1000円の最賃は喫緊の課題です。

 日本弁護士連合会(日弁連)は「働いているにもかかわらず貧困状態にあるものの多数は、最低賃金付近での労働を余儀なくされて」いると、貧困問題の解決のためにも最低賃金を大幅に引き上げることを求めています。また、最低賃金の地域格差は地方での労働力不足を深刻化させていることを指摘して、格差の是正をも訴えています。安倍政権はこうした声に真剣に向き合うべきです。

国際水準に見合った金額

 日本の最低賃金の低さは国際的な水準に比べても大問題です。前出の日弁連の調査では、フランス9・76ユーロ(約1218円)、ドイツ8・84ユーロ(約1103円)と軒並み1000円を超します。アメリカでも15ドル(約1667円)への引き上げを決めたワシントンDCやカリフォルニア州をはじめ、各地で動きが広がっています。

 国際的に恥ずかしくない水準への最低賃金の引き上げは、日本が世界に負う責任でもあります。


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