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2017年5月27日(土)

論戦ハイライト

「加計ありき」深まる

文書を暴露  小池議員の追及

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 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」の問題をめぐり、日本共産党の小池晃書記局長が25日の参院文教科学委員会で明らかにした文書は、国家戦略特区による獣医学部新設が「加計ありき」だったことをいっそう浮き彫りにしています。


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 小池氏は22日の参院決算委員会でも、2018年4月に加計学園が獣医学部を新設することについて、文部科学省が戦略特区を所管する内閣府に懸念を伝えていた文書を暴露。内閣府が「総理のご意向」と一蹴したことを明らかにしました。

 小池氏が25日の委員会で示したのは、22日の追及直後に小池氏の事務所に届いた二つの文書。文科省内で共有されたとみられる2016年11月8日付のメールの写しと「加計学園への伝達事項」と題した文書です。国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設が決まる前日の日付です。

 「大臣及び局長より、加計学園に対して、文科省としては現時点の構想では不十分だと考えている旨早急に厳しく伝えるべき、というご指示がありました」

 メールの文面からは、加計学園の構想に文科省が不満を持っていたことがはっきり読み取れます。さらに「伝達事項」は「文部科学省として懸念している事項」を列記しています。

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(写真)小池書記局長が入手した文部科学省内で共有されたとするメール

文科相否定できず

 文科省はもともと、農水省が獣医師数は足りているというので、新たな獣医学部は必要ないとの姿勢でした。そこで諮問会議が考えたのが「獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応する」ためという新設理由でした。

 加計学園の構想はどうだったか。

 小池氏が明らかにした「加計学園への伝達事項」は、懸念事項の第一に既存の獣医学部との差別化を「よく検討していただきたい」と明記。獣医学部として最多となる160人の定員についても「具体的需要の説明が必要」とし、さらに「設置申請に向けて、教員確保や施設整備、資金計画など、万全な準備を」と求めています。

 浮かび上がるのは、諮問会議で獣医学部新設が決まる前日になっても、既存の学部との差別化も定員数の合理的な説明もできない加計学園のずさんな姿と、それでも首相案件として「できないことをできると言わざるを得ない状況」(前川喜平・前事務次官、25日の会見)に追い込まれる文科省の姿です。

 小池 学園に「伝達事項」を送ったか。

 文科相 大学設立にかかわり相談を受けることはある。個々の内容は公表しない。

 小池 学園の現時点での構想では不十分だと、早急に厳しく伝えるよう専門教育課に指示したか。

 文科相 公表しない。

 小池氏の追及に、松野氏は否定することができませんでした。

首相の国家私物化

 小池氏はさらに、決算委で松野氏が獣医師の需給について「内閣府、農水省と調整を進めていた」と答弁していたことを追及しました。

 小池 調整できたのか。

 文科相 調整の結果、3省の合意があり、今回決定された。

 小池 ごまかしている。需給についての答えを農水省がだしたか聞いている。

 文科相 政策形成過程については公表を控える。

 小池氏はそこで「赤旗」が入手した「国家戦略特別区域諮問会議 平成28年11月9日 松野文部科学大臣御発言メモ」と記された文書を突き付けました。獣医学部新設を決める諮問会議に向け、文科省が作成したものとみられます。

 「メモ」には、▽既存の獣医師養成との差別化を求めた「日本再興戦略改訂2015」を踏まえる▽内閣府と農水省の調整を進める―との条件を挙げ、「これに沿った設置認可申請については、大学設置認可に係る基準に基づき、適切に審査を行ってまいります」と書かれています。

 ところが、諮問会議の議事要旨の松野氏の発言は「大学設置認可にかかわる基準に基づき、適切に審査を行ってまいる」とあるだけです。

 「私の発言は議事要旨の通り」としらをきる松野氏に、小池氏は「再興戦略に基づく条件や農水省による需給調整という文科省の要請がすべてはねつけられたうえ、大臣の発言も議事要旨から削除され、最後は首相の一声で諮問会議が決定したということだ」と指摘。「国民からみれば、国家の私物化だという疑念がわいてくるのは当然だ」と批判しました。


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