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2017年5月27日(土)

主張

前次官「加計」発言

国会での真相究明が不可欠だ

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 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める岡山市の学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に来春開設しようとしている獣医学部をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理の意向」と要求したと記された文書などについて、文科省の前事務次官の前川喜平氏が「本物です」と認め、「行政がゆがめられた」と発言しました。文書作成当時、次官だった人物の重大発言です。菅義偉官房長官らは「出所不明」「文書はない」などと否定してみせますがそれでは済まされません。国政が私物化され、行政がゆがめられた疑惑であり、証人喚問など、国会での真相解明が不可欠です。

なかったことにならぬ

 「あったものをなかったことにはできない」「本来赤信号のところを、とにかく青信号だと考えろといわれ青にさせられた」―25日の記者会見や新聞、週刊誌などでの同氏の発言は、当事者でなければ語れない迫力に満ちています。

 これまで明らかになり、国会などで追及されてきた一連の文書には、来春に「加計学園」の獣医学部を開設することを目指し「最短のスケジュール」を作成することを、内閣府が文科省に「官邸の最高レベルが言っていること」「これは総理のご意向だと聞いている」などと要求していた記載があります。文書が作成された当時事務次官だった(今年1月まで)前川氏は、昨年9月から10月にかけ、大学の開設を担当する専門教育課から報告、相談を受けた場での資料だと証言しました。菅官房長官や松野博一文科相は「調査したが文書はなかった」といっていますが、ここまで前次官が明らかにした以上、徹底した再調査と事実の究明が必要です。

 前川氏が、「公正公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と発言していることは重大です。獣医は全国的に足りているといわれ、政府もつい最近まで、生命科学など新分野で人材のニーズがある、すでにある獣医学部では対応が困難―などを新設の条件に挙げていました。ところが「加計学園」の獣医学部についてはそうした条件に合致するかどうかの根拠が示されておらず、とにかく“最初に「加計学園」ありき”で、「特例」(前川氏)として開設が認められてしまったというものです。

 「加計学園」の獣医学部は、今治市が一昨年、安倍首相が力を入れる、規制などを「緩和」する国家戦略特区に指定されたことで本格化しました。日本共産党の小池晃書記局長が25日の参院文科委員会で明らかにした文書でも、文科省が求めた獣医の需給調整などを、所管する農林水産省が行わず、最終的には「安倍首相の一声」で開設が決定されたことが明らかにされています。行政が私物化され、ゆがめられた疑惑は濃厚です。

首相の責任が問われる

 菅官房長官は前川氏に対し、「天下り」で辞任させられたことなどを非難しますが、そのことで行政をゆがめた重大な疑惑を帳消しにできるものではありません。

 安倍首相は国会で自らの“潔白”を主張し、「もし働きかけて決めていたら責任を取る」と答弁しています。首相の責任は重大です。首相に疑惑解明を果たさせ、国会答弁の責任を明確にさせるのは、国会自身の責務でもあります。行政をゆがめた疑惑の解明は、政治の信頼にかかわる大問題です。


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