2017年5月6日(土)
きょうの潮流
『はいろみち』。東京電力と国が福島第1原発で過酷事故を起こしてから7年目に入った先月、東電が情報誌を創刊しました▼廃炉・汚染水対策の最高責任者は「1・2号機でのロボットによる原子炉格納容器内調査」など「廃炉の核心ともいえる作業へとシフトします」とあいさつ。「今後30年から40年続く『廃炉事業のみちのり』をお伝えする」▼それならば「廃炉の核心ともいえる作業」は、高線量の放射線被ばくをしながら作業する労働者に支えられていると、伝えてもらいたい。東電が「協力企業作業員」と呼ぶ、隠し続けている真実です▼垣間見えたのは、いわき市で開かれた全日本民医連の健康相談会で出会ったある労働者の証言からです。爆発した1号機原子炉建屋の「近傍」。事故を起こした東電の社員は「えらそうな態度で見守りをするだけ」。現場は元請けのゼネコン会社が仕切ります▼「歩くだけで0・1ミリ上がる」高線量エリアでは、白い防護服の上にタングステン製のベストと短パンを着用。放射能に汚染されたガレキの撤去作業をした男性は「線量が被ばく限度いっぱいになった」と6カ月で仕事を失いました。「地元の人間として子どもたちや故郷のため少しでも復興を前にすすめたいと思ったが、俺は使い捨てか」と怒ります▼今も頭痛がひどく、疲れやすいと訴える男性。不安に思うのは放射線防護されていない顔面、とくに白内障です。30年後、40年後は大丈夫か。“それは知らない”は許されませんよ、東電さん。