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2017年2月26日(日)

給食費補助 4割超市町村に

62自治体に無償広がる

本紙が5道県抽出調査

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 公立の小学校や中学校の給食費の保護者負担を軽減する市町村が増えています。本紙が補助の内容を調べるために、5道県を抽出し全342市町村を対象に問い合わせたところ、47%にあたる163市町村が独自に補助を行っていることが25日までに分かりました。全額補助が23、多子世帯のきょうだいのうち1人以上を全額補助する市町村は26ありました(表)。

 (武田恵子)


図

北海道で6町村増

 抽出した5道県は、先に行った本紙調査(1月14日付)で全額補助が最も多かった北海道と沖縄県、早くから無償の自治体がある山梨県と兵庫県、この1月から県内初の無料化自治体が生まれた千葉県です。

 調査の結果、全額補助の市町村が新たに北海道で6町村あることが分かりました。

 本紙の先の調査では、全国で学校給食を無償にしている市町村が少なくとも55(4市28町23村)あると紹介しました。これに北海道の4町2村、千葉県の1町を加えると、全国で少なくとも4市33町25村の62が全額補助をしていることになります。

 多子世帯の全額補助は、北海道の根室市、北斗市、千葉県の市川市、匝瑳市、いすみ市、香取市、浦安市、沖縄県の名護市、沖縄市、石垣市など市部でも広がっているのが特徴です。多子世帯の補助には第3子を無料とするだけでなく、第1子、第2子も半額とする自治体もあります。

各種の補助も拡大

 保護者が半額負担し、市町村が半額補助する方法や、保護者が3分の2、市町村が3分の1補助するなどの他、消費税が5%から8%に引きあがったさいに、増税分を市町村が負担したり、食材費の高騰による支出増を市町村が補助するなどもあります。また、地元の食材を使う地産地消を促進するための補助も広がっています。

 今年度は「補助していない」と答えた市町村のなかにも来年度から無料や半額補助、多子世帯補助などを予定していると答えた市町村は少なくありません。3月議会を経て正式に公表するとしています。

学校通じた社会保障として

跡見学園女子大学准教授 鳫咲子さん

写真

 『給食費未納 子どもの貧困と食生活格差』の著書のなかで、給食無料化の重要性を語っている鳫(がん)咲子さん(跡見学園女子大学准教授)に聞きました。

 公立小学校では、99・6%の子どもたちが完全給食と呼ばれる主食・おかず・ミルクのそろった給食をとっています。しかし、公立中学の完全給食実施率(人数比)は82・4%で、残り2割弱は未実施です。経済的な問題を抱える子どもたちの中には朝食もとっていないケースが多く、成長期に十分な栄養が確保できていないことは見過ごせません。たとえ給食費の支援がされる就学援助を受けていても学校給食がない地域に住んでいると給食費相当の支援を受けることはできません。住む地域によって昼食への支援の格差が生まれます。

 2011年に市内の全中学校で完全給食が実施された北九州市の検証アンケートでは興味深いことが示されました。完全給食実施後、朝食欠食の生徒が減り、不登校の生徒も給食を楽しみに学校にくるようになったなどの変化がありました。

 学校給食を、学校を通じて提供できる社会保障として見直すことが大事です。

 日本の学校給食はもともと欠食児童への救済から始まりました。戦後、すべての子どもの栄養の改善を目的とする普遍的制度になったことは大きな前進です。しかし、一方で給食費の未納という理由で、制度からはじきだされかねない問題が生まれています。

 お隣の韓国では、貧しい子どもたちだけが無料給食を申し込むのは貧困の烙(らく)印(いん)を押されることになるとの考え方から2000年代以降、小中学生全員の給食を無料にする自治体が増えています。小学校の94%、中学校の76%で学校給食が無料化されています。

 日本は憲法で義務教育が無償であるとうたわれながら、子どもが学校に通うためには多くのお金がかかります。給食費をはじめ保護者負担の費用の無料化の実現を強く望みたいですね。国の責任も問われます。


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