「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年12月4日(日)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 この人の存在は、映画を見るまで知りませんでした。昨年、106歳で天寿をまっとうしたニコラス・ウィントン。“イギリスのシンドラー”と呼ばれた人です。その業績がドキュメンタリー映画「ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち」で公開中です▼舞台は、ナチス・ドイツの支配下にあった1939年当時のチェコスロバキア。38年末、29歳の証券会社ディーラーだった彼は、チェコのユダヤ人難民キャンプを訪れます▼目にしたのは命の危険にさらされた小さな命。「子どもだけでも助けたい」という親たちの願いを受け、唯一、入国を許可した母国イギリスで里親探しが始まります▼幼いわが子を手放した親たちの勇気。異国の子を受け入れた里親たちの愛。第2次大戦が始まるまでに669人が救出されました。しかし誰がつないだのかは、88年に彼の妻が救出記録を発見するまで伏せられたままでした。ニコラスさん曰(いわ)く「大したことではない」▼英国の公共放送BBCの働きかけで同年、ニコラスさんと生き延びた子どもたちが半世紀ぶりに再会。科学者、TVジャーナリスト、教師…。子どもたちは各国に散らばり、さまざまな分野で活躍していました。その子や孫は6千人近くに▼感動的なのは、この実話がもたらした影響力です。触発された子孫や世界の若者たちが、それぞれのやり方で人道支援に。「報復の連鎖」ならぬ「愛と勇気の連鎖」です。新たな難民が次々生み出されている今、美談ですますことはできません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって