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2016年6月21日(火)

参院選2016「ネット党首討論」 志位委員長の発言

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(写真)発言する志位和夫委員長=19日、東京・六本木

 日本共産党の志位和夫委員長は19日夜、参院選2016「ネット党首討論」(ニコニコ動画)に出演し、経済問題や憲法問題について与野党党首と討論しました。


経済問題――

アベノミクスは失敗した。「三つのチェンジ」で経済に民主主義を確立する

  経済問題では、冒頭、各党首が「アベノミクス」の評価、今後必要な経済対策などについて語りました。共産、民進、社民、生活の4野党がそろって「アベノミクス」による失政を指摘したのに対し、与党側は「アベノミクスは道半ば。しっかりとこの道を力強く前に進める」(安倍晋三首相)、「アベノミクスの成果を分配にも生かす」(公明党の山口那津男代表)と格差を拡大させた「アベノミクス」にしがみつきました。志位氏は次のように語りました。

 志位 私は、「アベノミクス」は失敗だと思っております。安倍さんは「世界で一番企業が活躍しやすい国をつくる」と宣言し、「大企業を応援し、大企業がもうけをあげれば、いずれは家計に回ってくる」と言い続けてきました。

 しかし、待てども待てども、回ってこないわけです。大企業は3年連続で過去最大の利益をあげましたけれども、庶民の生活はどうか。働く人の実質賃金は5年連続マイナス、5%も目減りし、1990年以降最低に落ち込みました。日本経済の6割を占める個人消費は、14年度、15年度と2年連続マイナス。これは戦後初めての事態です。

 私は、「アベノミクス」はもうやめて、格差をただし、経済に民主主義を確立する「三つのチェンジ」を提案したいと思います。

 第1は、「税金の集め方」のチェンジです。消費税10%は先送りでなく、きっぱり中止する。そして富裕層と大企業に応分の負担を求める「消費税に頼らない別の道」で財源をつくる。

 第2は、「税金の使い方」のチェンジです。大事な税金は、社会保障、若者、そして子育てに優先して使う。認可保育所の増設や保育士さんの待遇改善で「保育園に落ちない日本」にする。そして大学の学費を10年間で半減し、給付制奨学金を創設する。

 第3は、「働き方」のチェンジです。ブラックな働き方をなくし、残業時間を法律で規制し、「過労死」をなくしていく。そして非正規から正社員の流れをつくるための雇用のルールの強化をはかる。最低賃金は中小企業の手当てをしっかりやりながら、今すぐどこでも時給1000円、そして1500円をめざす。大幅引き上げをはかります。

経済問題――各党の討論

◆給付型奨学金

志位 給付型奨学金を創設するのか

首相 いますぐといえない

 続く党首間の討論で、志位氏は安倍氏に質問しました。

 志位 安倍さんに、若いみなさんにとって切実な問題、奨学金の問題を聞きたいと思います。大学を出ますと300万円から多い方は1000万円もの借金を返さなければいけません。給付型奨学金の創設は本当に急務だと思います。

 自民党の公約をみますと、「給付型奨学金の創設に向けて具体的な検討を進めます」とあるんですね。こんなあいまいな公約はないと思うんですよ。これを、創設するのかしないのか。お答えいただきたい。

 安倍 無利子の奨学金を、頑張っている子どもたちにはすべて対応できるようにしていきたいと思います。そして、給付型の奨学金については、財源をしっかり得なければいけません。財源をしっかりと得て、これ実行していくように検討していきたいと思います。

 司会者が、「だいたい何年後くらいか」と質問。安倍氏は、「財源を得られれば来年度からも私は可能だと思っているが、まだ得られていないのに、いますぐという、いいかげんなことは言えない」と述べ、給付型奨学金の導入を明言しませんでした。

◆長時間労働の是正

志位 「残業代ゼロ」法案を撤回するのか

首相 「多様な働き方」を可能にする

 志位氏はまた、労働法制の問題で安倍氏に質問しました。

 志位 自民党の政策を見ますと、「長時間労働の是正」ということが書かれています。であるならば、「残業代ゼロ法案」―一定の年収を超える労働者はどんなに働いても残業代は1円も出さないと。これは、「過労死促進法」になります。これは撤回されるべきではないでしょうか。いかがですか。

 安倍 まず、「過労死促進法」というレッテル貼りはやめていただきたいと思います。「多様な働き方」を可能にしていくことが大切であろうと思います。これが時代の要請に合うものであります。同時に、非正規でいたくないのに非正規という比率は、安倍政権になってから実は減っています。大切なことは、みんなが仕事を得られるという経済状況をつくっていくことだろうと。それはまさに、有効求人倍率をあげていくということなんだろうと思います。しっかりと、われわれは進めていきたいと思います。

 これに対して、民進党の岡田克也代表は「安倍さん、実態がわかっていない。ワタミの(過労死)裁判の時に、過労死した女の子がどういう扱いを受けたか。だから自由に選べるじゃだめなんです。大事なことは、法律できちっと規制する。それを多様な働き方などと言って自由にやれるようにしたらタガが外れてしまう」と批判しました。

憲法問題――

憲法違反の安保法制=戦争法は廃止。安倍改憲ストップの審判を

 安全保障問題や憲法改定問題がテーマになり、各党首が意見を表明。安倍首相は安保法制=戦争法成立で「お互いに助け合う(日米)同盟はその絆を強くした」と発言。改憲について「私たちは憲法改正草案をお示ししている。この選挙においても憲法改正を目指していくと選挙公約にちゃんと書いてある」とのべました。さらに、「憲法審査会でどの条文を変えていくか議論を進めていきたい」と参院選後に改憲に向けて突き進む立場を明言しました。志位氏は次のように表明しました。

 志位 昨年9月19日に強行された、安保法制=戦争法ばかりは、数の横暴で強行されたからといって、そのままにしておくことはできません。

 集団的自衛権とは、日本に対してどの国からも攻撃がされてもいないにもかかわらず、アメリカが戦争を始めたら、一緒に戦争をするということです。アメリカのベトナム戦争、イラク戦争のような無法な戦争に、日本の若者を駆り立てるということになります。憲法違反の安保法制=戦争法は廃止するしかありません。

 しかも安倍政権は、安保法制を強行するさいに、「憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない」という、60年余りにわたる憲法解釈を百八十度覆すという、立憲主義を破壊するという禁じ手を使いました。集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すことは、まさに急務だと思います。

 さらに憲法改定の問題があります。安倍さんは、「憲法を改正していく、自民党は憲法改正草案を示している、これを国政選挙でお示ししていきたい」と、国会で答弁されています。

 この「自民党改憲案」――2012年につくられた文書ですけれども、内容は憲法9条2項を全面削除し、「国防軍」を明記し、海外での武力行使を無条件に可能にするものとなっています。「公益及び公の秩序」の名で、国民の基本的人権を制約できるものとなっています。一言でいって、「憲法が憲法でなくなる」――憲法によって国家権力を縛るのではなくて、憲法によって国民を縛り付けるものへと大変質させるものとなっています。

 この「自民党改憲案」を許していいかどうかは、今度の選挙の大争点です。ぜひ改憲ストップの審判をくだしていただきたいということを、訴えたいと思います。

 「安保法制廃止・立憲主義回復」の大義を掲げて共闘する他の野党も「立憲主義をきちんと理解した総理でないと非常に危ない」(民進・岡田氏)、「政府・自民党、安倍総理の考えているような憲法改正は賛成できない」(生活の党・小沢一郎代表)、「憲法の理念、条文が生かされないことが最大の問題だ」(社民党・吉田忠智党首)と安倍政権のもとでの憲法改悪に反対しました。

憲法問題――各党の討論

教育の無償化をすすめるのに憲法改正は必要ない

 党首間の討論で、おおさか維新の会の松井一郎代表が志位氏に「教育無償化のための憲法改正に反対か」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 教育を無償化するために憲法の改正は必要ないと思います。高等教育を無償化する、あるいは高校教育を無償化する、私たちは無償化する方向が必要だと思います。しかし、それは何も憲法を変える必要はありません。現行憲法の教育の権利、これにしっかり立って、あるいは幸福追求権、これにしっかり立って、しっかりやればいいことであって、現行憲法でできないことはない。何も憲法を変える必要が、教育の無償化であるとは考えません。

 これに対し松井氏は「なぜ義務教育が無償化になっているのか、憲法で義務教育は無償としっかり明記されているからだ。教育無償化を完全実施するなら憲法で無償化を規定しなければなりません。志位さんは教育の無償化は反対だということがはっきり分かりました」などと根拠のない攻撃を行いました。

 志位氏は「そんなこといってないでしょう。憲法を変えなければできないということではないといってるんですよ」ときっぱり反論しました。

憲法9条と自衛隊は両立しない――将来の問題として国民合意で段階的解消

 安倍首相は「志位さんの話をうかがって、いいことであっても憲法改正はしない。いわば指一本触れさせたくない、そういうことなのかなという感じがしました。自衛隊については今でも憲法違反だというお考えなのか」と質問。これに対し、志位氏は次のように答えました。

 志位 これは(自衛隊が違憲だというのは)その通りです。

 まず憲法の30条におよぶ人権条項、これは本当に先駆的で豊かなものなんですよ。ここには政治的権利だけでなくて、教育の権利、勤労の権利、そして生存権など、経済的・社会的な権利が入っている。ですから、これを本当に生かした政治が必要なんですね。

 それから自衛隊のことがいわれました。私たちは憲法9条と自衛隊は両立しないと考えております。じゃあどうするか。やはり9条という理想に向けて、将来的な問題ですけれども、国民の合意で段階的に9条の全面実施をはかっていく。これが私たちの見解です。

  志位氏は、憲法9条について安倍氏に質問し、次のようなやりとりになりました。

 志位 安倍さんにうかがいます。安倍さんは国会答弁で、憲法改定について、「憲法9条の憲法解釈について、7割の憲法学者が自衛隊は憲法違反の疑いがある、自衛隊に対してそういう疑いを持っているという状況をなくすべきではないかという考え方もある」とお述べになりました。さきほど私に対して、9条についての考え方を聞かれたので、私の考え方は述べましたけれども、安倍さん自身もそういう考え方をもっていらっしゃるんですか、9条に関して。

 安倍 9条と自衛隊は合憲だと考えております。われわれは、国の存立を守るための自衛権を持っている。これは砂川判決でも明らかになっています。今日、明らかになったことは、共産党は自衛隊が違憲の存在であるということをはっきりと示したことです。あの熊本の地震のときにも、昼夜を分かたず救出、救命のためにがんばったのが自衛隊であろうと。私は自衛隊の人たちにたいして、本当に失礼なことだなあと思います。

 志位 私たちは将来の展望として、国民の多数の合意を得て、9条の完全実施、すなわち自衛隊の段階的解消をはかるという方針をもっております。しかし、それは将来の課題であって、かなりの長い期間、自衛隊との共存が続くという展望をもっております。そして、自衛隊については、急迫不正の主権侵害、あるいは大規模災害が起こったときには、自衛隊も働いていただくという方針は大会で決めております。何か、災害出動に反対であるかのようなことをいうのはやめていただきたい。

自民党がつくった憲法違反の状態を解消する責任ある方針

 安倍氏は、「自衛隊は憲法違反といっていながら、しばらくはいいんですか、憲法違反だと認めながら、災害が起こったら仕事をしてくれと。これはあまりにもひどい言い方だと思います。憲法違反だったら、すぐこれは廃止すべきではないですか」と再度、質問しました。志位氏は次のように反論しました。

 志位 憲法違反の状態をつくったのは自民党なんですよ。ただ、その憲法違反の状態をすぐに解消することはできません。国民多数の合意がなかったらできない。ですから、私たちは、そういう状態のなかで、いかに9条の全面実施をはかるかということについて、国民の合意を得て段階的に解消していく。自民党がつくった矛盾を私たちが引き受けて、いかに解消するかという、一番責任ある方針を出しています。

■視聴者に訴えたいメッセージ

市民運動と野党共闘は大きな希望 新しい政治をつくろう

 番組では最後に、視聴者に訴えたいメッセージを各党首が述べました。志位氏は次のように述べました。

 志位 いま日本は、戦後かつてない歴史的な分かれ道に立っていると思います。この間、一方で安倍政権による憲法違反の安保法制=戦争法の強行という危険な動きが起こりました。同時に、それに反対して戦後かつてない新しい市民運動が豊かにわき起こり、それに背中を押されて、野党共闘が大きく前進しているのは、日本にとっての大きな希望だと思います。

 今度の選挙では、全国32の1人区で野党統一候補が実現しました。「安保法制の廃止、立憲主義の回復、安倍政権の打倒」を共通の大義としておりますが、同時にそれ以外の問題でも、この間15本の法案を国会に野党として出し、「市民連合」のみなさんとは19項目の政策合意を交わし、野党共闘の中身は、暮らしの問題、民主主義の問題も含めて、豊かになっております。どうか、日本の政治をよくしていく、新しい政治をみんなでつくっていこうではないかということを呼びかけたいと思います。


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