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2016年5月8日(日)

再批判 自民党改憲案 (4)

「緊急事態条項」の危険

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(写真)「緊急事態条項を優先課題に」と主張する改憲派の集会=3日、東京都内

 安倍晋三首相や改憲右翼団体・日本会議が優先事項として新設を狙う「緊急事態条項」は、自民党改憲案にすでに盛り込まれています。

 「緊急事態」とは、「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」(第98条)と定められています。何よりまず「外部からの武力攻撃」への対処のためのものです。

 首相による「緊急事態」宣言のもとで、何ができるのでしょうか。

国民に服従義務

 法律に基づいて「内閣は法律と同一の効力を有する政令(緊急政令)を制定する」ことができます。これにより、国会審議を抜きに、内閣が人権制約をはじめ「立法権」を行使できます。政令の管轄事項に制限はなく「何でもできる」ことになります。三権分立や国会中心主義などの原則が停止し、首相と内閣に権限が集中します。

 さらに国民保護のための国等の指示に国民は「従わなければならない」と、服従義務が規定されます。緊急政令では、罰則制定も排除されません。

 自民党改憲案取りまとめの起草委員会事務局長を務めた礒崎陽輔参院議員は、「(緊急政令で)人権制約は考えていない」などとツイッターで発信しています。

 しかし、自民党改憲案Q&Aは、従来の「国民保護法制」では国民の服従義務について憲法上の根拠がないため、国民への要請は全て「協力を求める」という形でしか規定できなかったと不満を告白しています。法律レベルの緊急事態法=有事法制の一部である国民保護法制に強制力を持たせるのが大きな狙いです。

 さらにQ&Aでは、「国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るために、そのため必要な範囲でより小さな人権がやむなく制限されることもあり得る」と明言しています。

内閣頂点の軍政

 結局、内閣(国)の措置に強制力が付与され、人権が停止するに等しい状態となります。「緊急事態」のもとで、まさに内閣と首相を頂点とする専断的な体制がつくられます。

 戦争法の発動で米軍への支援が開始される場合、通信傍受やテロ容疑者拘束のための強制手段が拡大され、軍事対応を批判する言論への統制も一気に強化される恐れがあります。意思決定の中心は「国家安全保障会議」であり、事実上の戒厳(軍政)です。

 国会では政府対応を批判する議論がされていても、「緊急事態」を首相が宣言すれば、政府が独断で強権措置を発動できるのです。

 (つづく)


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