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2015年11月24日(火)

改憲に首相執念

「緊急事態条項」創設唱え

長期間の人権抑圧も

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 安倍晋三首相は、「国民の安全を守るため、国家そして国民の役割を憲法に位置付けていくことは大切な課題」(11日、参院予算委員会)として、自民党改憲草案の一部「緊急事態条項」の創設に執念をみせています。3・11東日本大震災と原発事故が発生して以降、改憲派は「緊急事態条項」の創設を声高に唱えています。フランス・パリでの同時多発テロ事件(13日)以降、仏政府が「非常事態宣言」を発令する状況をうけ、緊急事態条項の創設論が強まる危険があります。(吉本博美)


 「緊急事態条項」とは何か。自民党の改憲案98条では「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」において、首相が「緊急事態の宣言」を発令と規定。武力攻撃事態をはじめとする「緊急事態」は、最大で100日間継続し、延長も可能など、異常に長期にわたる「戒厳」状態を想定しています。

 同案99条では「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」と規定し、さらに国民は国や公の機関による指揮命令に従わなければならないと「服従義務」も定めています。法律に基づかないで国民の権利を制限できないという法治主義のルールが骨抜きになり(白紙委任)、首相や内閣の判断が正当なものか、国会でチェックすることもできません。

 人権尊重と民主主義を基本原理とする憲法の効力を停止し、軍事対応のために長期間にわたり人権が抑圧されることになります。安倍政権のような憲法無視の政権のもとで、独裁的な権力行使が敷かれる仕組みにつながります。9条破壊の戦争法と一体で「戦争する国」づくりを大きくすすめるものです。

 現行憲法では、フランスの「非常事態宣言」のような条項はなく、創設も認めていません。憲法前文と9条の平和原則から、戦争(軍事的緊急事態)による人権制約を想定していないと同時に、天皇の大権に基づく「戒厳令」で国民の人権が抑圧された戦前の反省によるものです。憲法の枠内でも、国民の生命と生活の保護を求めており、緊急事態に対処するための必要な立法措置は可能です。現行の警察法でテロ行為への対処もできます。

 安倍政権の独裁的暴走政治を一時的にしろ法的に認める根拠となる「緊急事態条項」創設のための改憲の必要性と道理は何一つありません。


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