2015年10月6日(火)
巨人投手 野球賭博関与か
“野球の死”招くな
プロ野球の信頼を大きく揺るがす事態です。
巨人の福田聡志投手が今年の8〜9月にかけて野球賭博を行っていたことが発覚しました。
高校野球を対象にした賭けにかかわったうえ、巨人戦3〜4試合を含むプロ野球の試合にも賭けていました。
野球協約では「不正行為」(177条)として「所属球団が直接関与する試合について賭けをすること」を禁じ、「永久失格処分」の対象としています。さらには「野球賭博常習者との交際」(180条)も禁じています。同投手はこれにも抵触する疑いがあります。
野球賭博は、八百長と深く結びついています。1969年から71年にかけて、球界を大きく揺るがす八百長事件である「黒い霧事件」が起きました。これもきっかけは、暴力団らが、選手にもちかけた野球賭博でした。
球界は長いこと、選手と野球賭博などのギャンブルや反社会的勢力とのかかわりに、厳しく目を光らせてきました。2001年当時、サッカーくじにかかわって、当時の川島廣守コミッショナーは、本紙にこう語っていました。
「スポーツとギャンブルが結びつけば失うものはあまりに大きい。…(八百長が起きれば)スポーツの持っている価値は失われ、社会的信用は失われる。スポーツの死という状況になってしまいます」
巨人の調査では、「八百長が行われた形跡はいまのところない」としています。しかし、巨人は3年前、原辰徳監督が女性問題にかかわり、元暴力団員に1億円を支払った事件がありました。さらなる徹底した調査が必要です。コミッショナーも、いち早く調査委員会を立ち上げるとしています。
野球が“スポーツの死”という事態を招かないためにも、本来のフェアな姿を社会に示すためにも、野球賭博の実態をつかみ、その根を絶つことが早急に求められています。(和泉民郎)