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2015年7月10日(金)

元弾薬補給陸曹が語る真実

「後方支援」標的に

“危険低いは絵空事”

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 海外で「戦争する国づくり」へ暴走する安倍政権が今国会で成立をめざす戦争法案。安倍首相が口にする「海外で米軍などの同盟国の部隊が攻撃されれば、自衛隊は武器・弾薬などの後方支援をするが、隊員へのリスクは低い」との説明に「ありえない話だ」と言うのは補給を担当していた元陸上自衛隊2等陸曹です。今春、退職したばかりです。 (山本眞直)


写真

(写真)イラク派兵を想定しての武装勢力からの攻撃防止のための検問訓練。右手を銃床にかけ、いつでも銃を撃てる態勢の隊員(左)=北海道内の陸自駐屯地(画像を一部加工)

 北海道の自衛隊駐屯地のある町で暮らす元陸曹は、10代のころから「国を守る仕事につきたい」と決め、高校卒業と同時に、迷わず自衛官の道を選ぶほどの「国防少年」でした。

戦闘と一体

 元陸曹の職名は「弾薬補給陸曹」。戦車などの戦闘部隊に弾薬や燃料、食料などを補給します。戦争法案でいう「後方支援」部隊です。

 「安倍政権は前線から遠く離れた安全な場所で実施するから危険度は高くない、というがまったくの絵空事だ」と一蹴します。

 補給は、戦闘中の部隊に弾薬や燃料などを「寸刻も切らさぬように戦場地域に進出して行う戦闘と一体の兵たん」といいます。米海兵隊教科書も「戦闘と一体不可分」と明記、憲法が禁ずる武力行使そのものです。

 陸自には後方支援連隊があり、「直接支援小隊」が配置されているといいます。「戦闘部隊に随伴し戦場で直接支援する」といいます。

 元陸曹は、その危険性をこう指摘します。「武器、弾薬、燃料や食料などの物資を届ける補給部隊は戦闘力も弱く、交戦相手にとって『カモがネギをしょってる』格好の獲物であり、これを攻撃して補給を断ち切ったり、物資を奪えば、相手部隊の戦闘力を弱体化できる」

 元陸曹は、自衛隊がくりかえし派兵されているアフリカで6月26日、「イスラム過激派」がPKO部隊を攻撃、兵士50人を殺害したうえ、武器や車両を持ち去ったと伝える新聞を手に強調します。

 「最近の戦争はかつての国軍同士が交戦する『対称戦』とは異なり、武装勢力や『テロ組織』が相手の『非対称戦』なので、いつどこで攻撃を受けるかわからず、前線、後方の区別がつかない。突然、戦場になる。だからイラクやアフガンで米軍などは苦戦を強いられて犠牲者も多く、帰還兵の自殺者が後を絶たない」と元陸曹。

血が流れる

 物量作戦を誇る米軍の攻撃での弾薬、砲弾の使用量は膨大。当然、補給回数も多く、交戦相手にとって補給路を遮断する作戦は必至で、「安倍政権はアメリカの要求を断って“危険だから撤退させる”といえるのか。間違いなく自衛隊員の血が流れる」といいます。


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