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2015年5月19日(火)

韓国軍 相次ぐ乱射・自殺

「人権軽視」批判や入隊拒否も

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 ソウル市内の陸軍予備役訓練場で23歳の予備役兵の男性がライフル銃を乱射し自殺する事件が発生(13日)したことを受け、韓国政府は16日、安全対策のための特別チームを発足させました。昨年来、軍隊内での集団暴行による死亡事件や乱射事件、自殺などが相次いでおり、その原因の一つとして、徴兵制に対する疑問の声もあがっています。(栗原千鶴)


 乱射事件が起きたのは13日の午後。予備役兵2人が死亡し、2人が負傷しました。自殺した男性のズボンのポケットからは「なぜ生きているのか分からない」などと書かれた遺書が見つかったと地元メディアは報じています。

 事件を受けて国防部は、教官に防弾服を着用させたり、統制官に実弾入りの銃を所持させたりすることを検討。訓練場では、予備役兵1人に教官を1人配置することを義務化し、銃をチェーンで固定するなどの措置をとりました。

 陸軍では昨年4月、28師団に所属していた1等兵が集団暴行を受け死亡しました。長期にわたる暴行と虐待を部隊ぐるみで隠蔽(いんぺい)していたことがその後発覚し、国防相が謝罪。6月には除隊直前の兵長が、南北軍事境界線近くの見張り所で銃を乱射し、同僚兵士5人を殺害する事件も起きています。

 『韓国の軍隊』の著者、尹載善(ユン・ジェソン)翰林大学教授は事件の背景に、軍隊の非民主的な体質、管理教育や新自由主義的な競争社会など、「社会的な問題がある」と指摘します。

 兵士の人権向上をめざす「軍人権センター」の林泰勲(イム・テフン)所長は地元紙に、軍隊内の人権軽視を指摘。「閉鎖的な軍隊そのものの体質を改善するために国会直属のオンブズマンのような独立した監視機構をつくり、外部から軍を監視すべきだ」と提案します。

 事件が続くなか、入隊予定の息子を持つ母親を中心に「入隊拒否署名運動」が広がったり、インターネットサイトで「志願制請願署名運動」が起きたりしました。

 昨年、新政治民主連合の李相a(イ・サンミン)議員と韓国紙「ヘラルド経済」が共同で行った国会議員アンケートでは、回答した208人のうち102人が志願制に賛成しています。

 軍出身の与党・セヌリ党の孫仁春(ソン・インチュン)議員は「志願制に転換すれば、暴行事件などの苛酷な行為を根絶でき、20代で軍隊に行くことで遅れる社会進出も、前倒しできるため、国家経済にも大きな助けになるだろう」と語ります。

 一方「50万人の兵力を維持しながら、志願制に切り替えると年間6兆ウォン(約6600億円)の予算増が必要」という分析もあり、時期尚早との声もあります。2014年の韓国の国防予算は約35兆7千億ウォンでした。


韓国の徴兵制

 満19歳までに徴兵検査をし、兵役判定を受けます。軍役免除とならない健康な男子は満29歳までに兵役に就かなければならず、最短で21カ月、軍隊で生活を送ることになります。除隊後8年間は「予備役兵」とされ、有事に備え年間数回招集され訓練を受けます。現在、韓国軍60万人のうち40万人が徴兵制による義務兵。1年に20万人が入隊し、20万人が除隊します。


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