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2014年12月31日(水)

主張

与党税制大綱

大企業最優先政治のきわみだ

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 自民党と公明党が決めた2015年度の税制「改正」大綱は、大企業優先政治のきわみとしかいいようのないものです。年明けに安倍晋三内閣が決める税制改定案に盛り込まれる与党大綱の目玉は、法人税の実効税率の引き下げ幅を、15年度は2・51%、16年度はさらに引き下げて合計3・29%をめざすことです。大もうけしている大企業を潤すだけの法人税の減税のため、中堅・中小企業を苦しめる外形標準課税の拡大や赤字法人への課税を押し付けます。しかも減税額が増税額を上回る「減税先行」で、消費税増税で穴埋めすることをねらったものです。

中堅・中小企業の負担増

 法人税減税は財界・大企業の強い要求であり、「世界で一番、企業が活躍しやすい国」をめざす安倍政権の経済政策「アベノミクス」の大きな柱です。安倍首相自身、今年1月には法人税減税を国際会議で公約し、6月に決めた「改訂・成長戦略」では、国税と地方税を合わせ全国平均で34・62%(東京は35・64%)の法人税の実効税率を、数年かけて「20%台」まで引き下げることを決めています。

 「アベノミクス」で大企業に大もうけさせたうえ、法人税の負担を軽くしてやれば、賃金や雇用、設備投資などが増え、消費や景気も改善するというのが安倍政権の考え方です。しかし事実が証明しているように、大企業はもうかっても内部留保をため込むばかりで、賃金にも雇用にも回していません。雇用は増やしても賃金の低い非正規の労働者が中心です。法人税を下げても、大企業の懐を潤すだけなのは目に見えています。

 だいたい法人税は長期にわたって税率が下げられ続けてきたのに加え、大企業ほど負担が軽くなる租税特別措置や研究開発などを名目にした政策減税があるので、実際の税負担は見かけよりはるかに低くなっています。代表的な大企業であるトヨタ自動車が、海外から受け取った配当には税金がかからないなどの制度を利用して、何年間も法人税を払っていなかったのは有名な話です。「税金が高すぎる」というのは、もうけとため込みさえ増えればいいという大企業の身勝手な言い分です。

 大企業を潤すだけの減税のため、利益はなくても資本金や給与総額で課税額を決める外形標準課税の強化や、赤字を出した企業が欠損金と黒字を相殺できる繰越控除の見直しで、赤字企業や中堅・中小企業にまで負担を押し付けるのは論外です。外形標準課税などは資本金1億円以上の企業に適用されていますが、与党税調はこれを見直す方針です。文字通り大企業最優先で、中堅・中小企業を犠牲にするものです。

穴埋めは消費税再増税に

 法人税は1%の税率引き下げで5000億円近く税収が減ります。15年度に2・51%引き下げれば1兆円をはるかに超します。自民党税調の野田毅会長は、法人税制を見直しても15年度は2100億円、16年度は4000億円不足するとしています。結局は増税の拡大や消費税の再増税で穴埋めすることになります。「減税先行」でも何年かかければ「税収中立」が実現するといいますが、それこそ大企業の減税のために中堅・中小企業に負担を押し付けるものです。

 中小企業と国民を犠牲にする大企業減税は中止しかありません。


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