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2014年11月7日(金)

きょうの潮流

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 先日92歳で亡くなった元長崎市長の本島等さんは戦争の時代にまるまる青少年期を過ごしました。「われわれの教育も生活も、その全部が天皇中心だった」(『長崎市長のことば』)▼軍人勅諭をたたき込まれ、現人神(あらひとがみ)のために死ぬことを無上の喜びとした日々。青春のすべてをささげた戦争が終わって、本島さんは途方に暮れたといいます。自分たちの世代だけが取り残され、現在も体の中に戦争がある。そんな思いを引きずってきました▼現役市長として「天皇の戦争責任はある」と発言した本島さん。すさまじい攻撃を受け、右翼に銃撃され重傷を負いながら貫いた、言論の自由と「自分の人生の本質」。その本質をひもとくような私小説を最近、目にしました▼92歳の堤康弘さんが今年上梓(じょうし)した『青い日々』。福岡の中学1年のときに起きた二・二六事件。それを契機に戦争へと突き進む日本の中で、ひとりの青年が友人らとともに何を感じ、考えていたのかが率直に綴(つづ)られています▼若い心の中に無理やり入り込もうとする軍国教育のわずらわしさ。天皇は人間ではないか、という消せない思い。自由をもとめ、戦争に根本的な疑問を抱きながら時代の渦に巻き込まれていった若者の姿があります▼堤さんは戦後日本共産党に入り、平和で民主的な国づくりに力を尽くしました。閉ざされた空間の中で死と向き合った青春。社会を覆う空気が似てきた今、狂気に振り回された世代の体験を知ってほしい。本島さんや堤さんに共通する願いです。


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