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2014年10月29日(水)

沖縄知事選あす告示 オナガ氏インタビュー

保革超え心一つ

新基地阻止へ決意

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 沖縄と日本の歴史を大きく変える沖縄県知事選(11月16日投開票)が30日に告示されます。県政史上初めて、保守・革新の垣根を越えた「オール沖縄」の代表として知事選に挑むオナガ雄志(たけし)氏(64)は本紙の取材に応じ、名護市辺野古の新基地建設阻止へ不退転の決意を語りました。 (聞き手、岡素晴、竹下岳)


写真

(写真)オナガ雄志氏

 私は父も兄も保守の地方政治家で、小学生の時から選挙でポスター張りなどを手伝っていました。そういう中で、自分で持ってきたわけでもない米軍基地をめぐり、住民が保守・革新に分かれての「白黒闘争」を目の当たりにしてきました。いつか、それがなくなってほしい。それが政治家を志したきっかけです。

 那覇市長になり、市長会会長として県全体の課題に取り組むうち、米海兵隊のオスプレイ配備や辺野古の新基地建設を強行する動きが出てきました。その時、「県民同士がいがみ合って喜ぶのは日米両政府。県民の心を一つに立ち向かわなければ」という気持ちで動いてきました。

 2007年の歴史教科書検定での県民大会で共同代表を務めて以来、保守の側に身をおきつつ、真ん中に立とうと考えてきました。

仰天の世界

 オスプレイ配備の時には普天間基地のゲート前でシュプレヒコールをしましたが、これは保守からすると仰天の世界です。ある意味、政治生命がなくなっても仕方ないという思いでした。しかし、仰天の世界でなければ、もう基地をはさんで県民同士がいがみ合う時代は終わったという事実を分かってもらえない。

 そうした私の行動を見ていた県民、市民から多くの手紙がきました。「もうあなたしかいない」「頼みますよ」と。革新のみなさんからも私を推す声が伝えられ、保革を超えた枠組みづくりをしてきた立場として責任があると出馬を決意したのです。

素直な言葉

 もちろん、葛藤はありました。私の政治家としての夢は那覇市長でしたから。ただ、県民同士、思いは一つでも、それぞれ組織や政党に属していると、なかなか一歩脱しきれない。それなら、いちばん身の破滅を招くかもしれない私が一歩踏み出せば、右も左もなく、まとまるのではないか。その結果として、今回の知事選の枠組みができたのだと思います。

 私自身は保革の壁を越えることに違和感はありませんでした。むしろ革新のみなさんの方が、仲井真弘多(なかいまひろかず)知事の選対本部長を2回務め、国政選挙でも自民党候補を応援してきた私に良い感じは持っていなかったのではないでしょうか。

 しかし、こうして一緒に選挙をやってみると、本当に言葉そのものが素直に飛び交い、信じあえる雰囲気になっています。お互い何のためにいがみ合っていたのだろうと思うぐらいです。

知事選勝てば埋め立て撤回可能

 私は普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念の「建白書」を掲げて選挙をたたかっていますから、当選すれば基地建設を止めるために知事の権限を最大限、活用します。

 その際、問題になるのが、昨年末の仲井真知事による辺野古の埋め立て承認の扱いです。

 公有水面埋立法に基づく承認の取り消しでは、環境保全の問題が焦点になります。私も昨年11〜12月に、埋め立てで環境が保全できるかどうかについて知事と話しました。その時は、県の部局が「環境保全は厳しい」と言っていたし、知事もそう言っていました。

ねじ曲げた事実

 しかし、知事は誰にも相談しないで東京で入院し、官房長官と交渉して埋め立て承認をした。県庁内で環境が厳しいと審査されたものなどを、知事が政治的にねじ曲げた可能性があります。

 私が知事になれば、承認にいたった過程を検証します。ねじ曲げた事実である瑕疵(かし)(法的な欠陥)があれば、承認の取り消しが視野に入ってきます。

 一方、仮に瑕疵が見つからない場合には、新たな事象から、埋め立てで国が受ける利益よりも、県民や環境が受ける被害が大きい場合には、承認撤回の選択肢が出てきます。

 新たな事象とは、辺野古新基地に反対する私が知事選に勝つということです。仲井真知事の埋め立て承認そのものに県民がノーということであれば、それを根拠に撤回することは、法的にも十二分に可能だと思います。

 仲井真知事は、「流れを止めるな」と繰り返しています。要するに、辺野古の基地と引き換えに上積みされた振興策で経済が発展する、その流れを止めるなということでしょう。

 しかし、多くの県民の意見を聞いてまとめられた「沖縄21世紀ビジョン」は、知事の言う発展の方向とは全く異なります。

 ビジョンは、沖縄には発展するアジアのダイナミズムを引き付ける自然や歴史、伝統といったソフトパワーがあるとうたっています。

 そして、基地依存経済はやめましょうと。基地と引き換えの振興策は一過性のものです。それに対して、返還された基地の跡地利用がいかに経済発展につながるかを、那覇市の新都心や北谷(ちゃたん)町のハンビータウンなどが示しています。米軍基地は、沖縄経済発展の最大の阻害要因なのです。

基地からの脱却

 つまり、基地から脱却して、沖縄のソフトパワーを活(い)かすことで前に進んでいこうというのが21世紀ビジョンの真の理念です。

 以前は、仲井真知事もそう言っていました。しかし、沖縄振興策を上乗せされたのと引き換えに辺野古の新基地建設を認め、「良い正月が迎えられる」とのべたことが、県民の心を傷つけました。

 知事選はぜひ県民みんなでノーの審判をしっかり突き付け、沖縄の誇りを必ず世界に再発信しなければならないとの思いを強くしています。


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