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2014年9月12日(金)

告発自衛官の処分容認

東京地裁 制裁取り消し認めず

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 自衛隊員勧誘で功績をあげた民間人を対象にした藍綬褒章の推薦業務で、不正があったとして内部告発(公益通報)した現職の幹部自衛官に対する制裁処分(停職6日の重処分)の取り消しを求めた裁判の判決が11日、東京地裁(古久保正人裁判長)でありました。

 処分取り消しを求めたのは陸自東部方面混成団本部所属の島田雄一1等陸尉(44)。判決は原告の取り消し請求を棄却しました。被告である自衛隊の「上司の印鑑を無断で購入して使用し、適正な業務を妨害した」という主張を採用。一方、原告が訴えた上申をめぐる不正、公益通報者へのあってはならないパワーハラスメント(不適切な業務指示)などによる報復的懲戒、懲戒処分権限の乱用という主張は退けました。

 原告の1尉は自衛隊埼玉地方協力本部総務班長(当時)として藍綬褒章の上申(推薦)業務を担当した際、防衛省の推薦基準(20年以上の貢献、90人以上の入隊者)についての実績が確認できず上申は困難と上司に進言。上司が不透明な上申を強要したことに抗議、防衛大臣への公益通報、マスコミや検察庁に告発しました。

 同1尉への処分は、上司らの不正、隠ぺいを告発するために同1尉があえて行った決裁書類への上司の押印の際、原告が購入した三文判を使った「印章不正使用」問題を、上申の不正を黙認した東部方面総監部が持ち出し、「不適切な業務及び上官に対する反抗不服従」にあたるとして強行しました。

 原告側は控訴する構えです。

解説

隠ぺい体質見逃すことに

 たかが募集、されど募集―。隊員募集業務は、志願制をとる自衛隊にとって存続にかかわる死活問題です。

 同じ“実力組織”ながら警察や海上保安庁にはない自衛隊地方協力本部という隊員募集の専門機関をもち、民間人の協力者を確保、入隊適格者の情報収集と勧誘というシステムもそのためです。しかし原告が指摘する上申をめぐる不正は全国各地でも常態化している、といいます。

 いま自衛隊は、安倍政権の集団的自衛権行使を視野に「海外で武力行使できる自衛隊」「より精強な実力組織」のための「優秀な人材」確保が迫られています。

 「組織ぐるみで不正を隠ぺいする体質は、利権と腐敗で日本とアジアに悲惨な結果をもたらした旧日本軍と変わらない。私の願いは戦車乗りとして訓練にはげみ、日本が永遠に戦争をせずに安全が守れること、そのためにも不正はあってはならない」

 原告の幹部自衛官の訴えが安倍政権の暴走の危うさを浮き彫りにします。

 (山本眞直)


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