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2014年7月20日(日)

きょうの潮流

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 いま連続テレビ小説「花子とアン」で話題になっているのが花子の友・葉山蓮子と再婚相手の嘉納伝助との関係でしょう。歌人の柳原白蓮(やなぎわらびゃくれん)と、炭鉱王・伊藤伝右衛門(でんえもん)が実在のモデルです▼白蓮のことは本紙でも取り上げましたが、伝右衛門もまた明治維新後の日本の歩みを象徴するような人物でした。急速な近代化のなかで富国強兵策の基幹産業となった石炭。その隆盛とともに福岡筑豊で巨万の富を築いたのです▼当時日本一の産炭地だった筑豊。そこで半世紀にわたって、ひとりの炭坑夫として働いたのが山本作兵衛でした。60歳をすぎてから、炭鉱生活の記憶を千枚以上の絵に残します。それは日本で初めてユネスコの世界記憶遺産になりました▼熱く暗い地の底で石炭を掘る男と女。炭鉱に生きる人の日常。その習慣や出来事。克明に、正確に描いた作兵衛の絵は、貴重な生活記録画の価値とともに、近代化の暗闇で命をさらして働いた民の姿をリアルに映し出しています▼作兵衛没後30年の今年、ドキュメンタリー映画「坑道の記憶」が各地で上映されます。東京ではすでにポレポレ東中野で公開中です。貧しさに負けず、まじめに生き、独学で漢字を覚えた作兵衛の人となりが伝わってきます▼働く人びとにむける優しい眼差(まなざ)しと愛情。戦争で長男を亡くした作兵衛は戦後、反戦の思いや核実験をくり返す「文明を誇る先進国」に憤りを表しています。争いや貧困、抑圧のない世界を願った炭坑絵師の作品は、未来につながる民の宝です。


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