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2014年7月12日(土)

被災地復興掲げたDIO

2年3カ月で撤退

岩手 洋野コールセンターの場合

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 東日本大震災の被災3県11カ所で復興と雇用の支援、地場産業の活性化を掲げ、国の緊急雇用創出基金事業を利用して、企業などの電話対応を請け負うコールセンターを開設したDIOジャパン(本社・東京都中央区)。各地で、雇い止めや撤退が相次ぎ、補助金目当てで不当な利益を得ている疑惑がもたれています。岩手県洋野(ひろの)町にある子会社「洋野コールセンター」の場合は―。 (佐藤幸治)


「プロめざしたのに悔しい」 賃金未払いも 怒る労働者

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(写真)無償提供していた洋野町役場種市庁舎敷地内にある建物

 県からDIOジャパンを紹介された洋野町は、雇用創出を期待して2012年3月に立地協定を結び、町の建物を無償提供しました。しかし、今年6月末で17人全員が解雇。わずか2年3カ月での撤退となりました。4月分の給料の未払いもあります。「安定した仕事を期待しましたが、今思えば、最初からすぐ撤退するつもりだったのでは」と振り返るのは昨年まで働いていた女性。「研修は、指導役もいない状態。事業所は電話が混線して顧客に迷惑をかけるような、いいかげんな設備でした」と指摘します。

短期の仕事ばかり

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(写真)コールセンター開設時に配布したパンフレット

 1週間や数日といった短期の仕事がほとんどで、仕事がなく過ごすことの方が多い状態だったといいます。

 一方、他のコールセンター子会社や不動産などの別会社に出張することもあり、その場合は「2カ月や4カ月の長期出張を続けてやらされて、体がもたないといってやめる人もいた」といいます。

 研修期間が終わると、11人が「スキル不足」を理由に雇い止め。約20人の正社員以外は6カ月、3カ月の契約社員に分けられ、3カ月後には、雇い止めの話が持ち上がりました。雇用は継続されたものの、不安を感じた従業員らは昨年10月、労働組合を結成。およそ半数の従業員が加入しました。

「パートか辞職か」

 組合は、安定した雇用、きちんとした研修とシステムの整備を求めて団体交渉をしました。会社側は「雇用を守る気持ちはある」としたものの、数週間後には「パートか、やめるか」の選択を迫りました。

 団体交渉に参加した久慈地域労連の外里一彦事務局長は、「社長はなにも話さず弁護士まかせで、事業を続ける意思を感じませんでした」といいます。

 組合結成直後から、DIOジャパン本社は、町に撤退の意向を伝えていました。町の担当職員は、「継続の交渉をしてきたが、誠意はなかった」と語ります。「6月末撤退」は5月に従業員を通して知りました。会社からの連絡はありませんでした。別会社による事業継続が検討されていますが、17人の雇用の確保は未定です。

 元従業員の一人はいいます。「地域に役立つことをやると最初は言っていたので、プロになるつもりで頑張りました。でも、従業員から提案があっても全て却下。結局、地域産業に関する仕事はやらず、口先だけだったのかと思うと悔しい」

 日本共産党の久慈裕子町議は、「委託事業の総額は2億1千万円。事業は適切に行われたのか、徹底した調査とともに、給料の未払い分はDIOジャパン本社に支払いの責任を取らせる必要があります」と話しています。


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