「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年2月19日(水)

安倍内閣の「総合推進法案」

病床削減 要支援外し 医療・介護 セットで改悪

消費税増の口実破たん

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 安倍内閣が12日に国会に提出した「医療・介護総合推進法案」は、介護と医療について大幅な負担増と給付減を盛り込んだ重大な法案です(表)。“消費税増税は社会保障のため”という言い分がデタラメであることを浮き彫りにしています。


 介護では、「要支援者」向けの訪問・通所介護を、市町村の事業に丸投げします。事業費には上限を設け、ボランティアに委ねるなど費用を徹底削減します。専門職による支援を受けられない高齢者が続出し、重度化に拍車をかけるだけです。

 利用料の引き上げや施設入所者の居住費・食費の補助縮小、特養ホーム入所者を原則、要介護3以上に限定するなど「介護難民」を深刻にする内容です。

現行制度の破綻

 一方、低所得者の保険料軽減として、介護費の公費負担とは別枠で最大1300億円(2015年度)を投入。費用の5割を保険料で賄うという現行制度の破綻を事実上認めた形です。

 しかし、介護費用が増えれば保険料が自動的に上がる仕組みは変えないため、公費負担を抜本的に引き上げないと介護を保障することはできません。

 医療では、「機能分化」の名で、看護師配置が手厚い「急性期病床」を削減し、“患者追い出し”を強引に進める構えです。「7対1病棟」(患者7人に看護師1人)は、2年間で36万床のうち9万床も減らす計画です。

 「病床機能報告制度」をつくって病床を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に再編。都道府県が必要な病床数などを盛り込んだ「地域医療ビジョン」を策定し、医療機関を交えて役割分担や病床の再編を協議します。

 「医療機関の自主的な取り組み」が基本ですが、協議が進まない場合は知事が病床削減や増床の中止を要請・勧告し、従わない場合は補助金を交付しないなど安上がりの医療提供体制を強引につくる方針です。

安上がり「ケア」

 医療・介護が連携してサービスを提供する「地域包括ケアシステムの構築」の名で、都道府県に基金をつくって医療機関や介護施設に対する補助などを行うとしています。

 しかし、「地域包括ケア」は安上がりの医療・介護をつくるのがねらいで、柱とされる「24時間地域巡回型サービス」が始まった自治体はわずか1割です。介護や医療が必要な人をサービスから締め出す根拠はまったく崩れています。「医療難民」「漂流高齢者」を増やすだけで、地域で安心して生きていくことをますます困難にするだけです。

 法案にはこのほか、医師が行うべき医療行為を看護師に研修だけで肩代わりさせることや、第三者委員会による医療事故調査制度なども含まれています。

 法案ごとに徹底審議すべき重大な内容を一本化したもので、まともな国会審議抜きに成立させるねらいです。

 法案の問題点が国民のなかに明らかになるのを安倍内閣と厚労省がいかに恐れているかを示しています。

図

見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって